第3話
「ふ、ふふふ。やっぱり大丈夫ではありませんか」
妖しく光る部屋の中、一人の少女、先風穂波が笑顔を浮かべて笑う。
照らされている部屋、照らされている天井、壁、それら一面にはとある少年、鈴木輪廻の写真で埋め尽くされている。
明らかに盗撮したような写真ばかりだ。
「お父様の杞憂だったのですよ……輪廻に拒絶され、恐怖されるなんて……これは同意のことであって、犯罪ではありません。もみ消す必要なんて無いんですよ」
穂波の父は日本有数の大企業の社長であり、財界、政界に強い影響力を持っている男である。
人を1人行方不明にすることくらい容易い。
そんな男である。
穂波の父は輪廻を社会的にて……というか存在そのもの抹消する気満々であった。
輪廻は図らずして自分の命を守ったのだった。
「えぇ、そうです。私と輪廻は互いに愛し合っているのですから。これくらい当然のことなのです。全く……お父様がビビらせるせいで私もビビってしまいました……情けありません。輪廻の愛を信じきれないなんて……」
その代わりにものすごい勘違いをされていた。
別に輪廻は穂波を愛してなどいない。
『わーい。理想のニート生活だー』としか思っていない。
「あぁ……そうでした。今から輪廻のために夕食を作ってあげないと行けないのでした……」
穂波はキッチンの方に向う。
まだ輪廻の監禁部屋に置かれているキッチンには料理器具が置かれていない。
そのため、あそこの部屋とは別にあるダイニングキッチンで作らなければならなかった。
「ふんふんふーん」
穂波は元気に料理を作り始めていく。
そして、穂波はさも当たり前のようにナイフで自分の手を切り、血を料理へと混ぜていった……。
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