一般通過モブ(?)に過ぎない僕がクラスメートの金持ちヤンデレ美少女に拉致監禁されることになったんだけど……幸せならOKです!

リヒト

第1話

 ただの一般モブでしかない僕、鈴木輪廻。

 そこそこの偏差値の高校に通っているだけの、何処にでも居る一般高校生だ。

 黒髪、黒目の中肉中背……どこにでもいるようなモブのような見た目の男の子だ。

 ……まぁ、何処にでも居る、とは言ってはいるものの結構拗らせたタイプの男の子ではあるのだけど。


「はぁー……かわいいな」


「それな」


「わかり味が深い」

 

 先風穂波。

 学校一、いや、恐らく世界一の美貌を持っている僕のクラスメート。

 腰まで伸ばされた美しい銀髪にルビーのように輝いている真っ赤な瞳。

 神の調整をミスったとしか考えられないまでの……神秘的で美しすぎる完璧な造形の顔。

 スタイルもモデルさんかと疑うまでに美しく、洗練されている。

 たった一言話すだけで万人を魅了するほどのきれいな声。

 確実に3次元に居ては良い人ではないそんな彼女。

 

「あの人マジパネェ」


「一緒のクラスで同じ空気を吸えているだけで至福」


「わかり味が深い」


 そんな彼女を教室の端で友達と一緒に眺めていたような僕が。



 ガチャガチャ


 

 そんな一般通過モブでしかない僕が。


「ふふふ。やっと捕まえました」


 ヤンデレオーラ全開の先風穂波に拉致監禁されるようになる可能性ってどれくらいあるのでしょうか?

 帰り道、突然黒服の男にリムジンに連れ込まれてそのまま億ションの最上階へと運ばれて監禁されるようになる可能性ってどれくらいあるのでしょうか?

 監禁された部屋に全裸で待機している美少女がいる可能性ってどれくらいあるのでしょうか?

 僕にはわかりません。

 なんで実際に起きているのか、それもわかりません。


「もう一生……離しませんよ」


 目がハートになっていますよ?奥さん。

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