第六感は、千佳と梨花の真実を語ったの。

大創 淳

第三回 お題は「第六感」


 ――またも予想はおろか、想像もできなかったお題。難易度は上がってゆく。


 それでも執筆の手は動く、心も沸々と情熱が沸くの。……それにしても、第六感といえば五感を超えたもの。直感の世界に至る。そこで脳裏を過る。誰かに脳内を見られているようで。そう思っていたら鏡。鏡の中の少女……よく見たら、梨花りかだった。


 それ程の激似。激似どころか瓜二つ。


 その頃からだったの。梨花と初めて会った日から、僕はこの子とずっと、生涯にわたって縁することを、感じていたのかもしれない。直感、或いは第六感だから。


千佳ちか、行こうか」


「梨花、僕もそう思ってたの」


 そこは、僕と梨花が初めて会った場所……さあ、何処でしょう? と思いつつも、向かう先はね、学園。卒業したばかりの昨日だけれど、伝説の大樹の下。そこが初めて会った場所だったの。正確には、再会ともいうべき場面。


 会ったばかりの頃は、まだ知らなかった。僕らが双子だということを。悪い子だった僕は、似ているというだけで梨花に迷惑をかけていた。警察に補導される程のこと、僕は謝るために梨花に会いにきた。……でも、会ってみたら。実は不思議な感覚があったの。


 五感では説明が困難な、何というか、

 変な安心感というのか、僕らがまるで鏡を見ているように、似ているということに。


 梨花も同じことを思ったそうなの、その時の僕と……


 心の何処かでは、僕らの出会いが運命的な、そんな感じがしたということ。そして何だか、懐かしい感じもしたということ。まるで以前から、お互いのことを知っていたようなそんな感じ。いざ一卵性双生児という事実を目の当たりにした時、梨花は衝撃を受けたようだけれど、僕も……同じように衝撃は受けたけれど、何故だろう? ホッとした部分もあったというのか、ある種の直感が働いていたというのか、僕らが似ている理由が、予想通りだったことに、潜在意識の中では喜びにも似た事実だったの、梨花もまた……


 衝撃の、涙の裏側では。――きっと嬉々としていたことだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

第六感は、千佳と梨花の真実を語ったの。 大創 淳 @jun-0824

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ