あなたは今幸せですか?
和泉秋水
第1話
俺は部屋でゲームをしているとピンポーンとベルが鳴ったのでゲームを止めて、玄関扉を開ける。インターホンがないのが億劫である。
扉を開けると高校生ぐらいの女の子が立っていた。
見知らぬ人だ。
友達の部屋と間違えたのだろうか。そう考え「部屋間違えてますよ」と言って直ぐに扉を閉めようとしたのだが、彼女は足を挟み入れ「間違えていません」と言う。なんと大胆で強引な行動だろうか。こんな行動を初対面で、しかも高校生ぐらいの女の子がする人がどこにいるのか。いや、ここに居た。
扉を少し開けて彼女を観察する。
さらさらな髪に綺麗な肌。可愛い部類に入る普通の女の子だ。
「で、俺に何の用ですか」
「あなたは今、幸せですか?」
「幸せですさようなら」
俺は素早く扉を閉める。まさかこの女の子が宗教勧誘をしてくるなど誰が予想できたか。早口で答え面倒事を回避する。
が、しかし、彼女は俺は逃してくれない。彼女は再び扉との間に足を挟み、扉を閉めさせない。
「宗教は結構ですお帰りください宗教は結構ですお帰りください宗教は結構ですお帰りください」
「待って! せめて、話を聞くだけでも!」
「宗教は結構ですお帰りください宗教は結構ですお帰りください」
彼女が強引に扉を開けようとするが男の俺の方が力が強いので直ぐに閉まる、が彼女の足の方が強い。全く閉まらない。小さく開けては閉めをガタガタと繰り返しているが全く閉まらない。硬い靴履いてきやがって。
俺は悪態を吐きながら「宗教は結構ですお帰りください」と呪文のように唱える。中々諦めてくれない。
「あなたは、†
俺は扉を閉めるのを止める。
「レオン様は謂わゆるVtuberの方でして、私たち同胞の
宗教勧誘ではなく推しの布教だった。
しかもただの布教じゃない。だって彼女の目が血走っているもの。恐ろしい。しかも自然にレゾンデートルって言ってるし。
こいつガチだ。
俺は戦慄しながらも彼女の話を聞いてみることにする。
「――そんなわけで彼は素晴らしい存在なのです! あなたも同胞になりませんか!」
五分程推しについて語られる。語り終えた彼女は鼻息荒く満足そうである。
だがそろそろ帰ってもらおう。
「ふっ、この我輩が†
「!!」
彼女の顔に花が咲き誇る。それ程までに彼女は顔を輝かせる。
「あなたも同胞なのですね!?」
「ふっ、馬鹿を言うな。我輩は
「!! それは失礼しました。レオン様の事、既に知っているようですので私はこれにて」
「うむ、お勤めご苦労」
彼女は敬礼をして何処かに去って行った。
◇◇◇
「――と言うことが今日、アマテラスが我らを監視している時(訳:日中)にあってな。貴様らの中にいるのではないか? 我の居城を突き止めた奴が」
俺は部屋でゲーム配信をしながらそう話す。
「よくぞ辿り着いた、賞賛に値する。だがもしかすると其奴は敵のスパイやも知れぬ。我の居城の座標を変えた方が良いやもしれぬな(訳:引っ越した方がいいかもしれない)」
そう、我こそが†
あなたは今幸せですか? 和泉秋水 @ShutaCarina
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