夜の公園
御角
夜の公園
深夜3時。静寂と冬の風が冷たく身に染みる。消えかけの街灯に照らされ、鈍く反射するブランコのチェーン。それが風に揺られ、何とも言えない音を発する。
男はベンチに腰掛け、この自分一人の空間を、誰にも邪魔されないこの時間を堪能していた。この瞬間だけは誰の目も気にする必要はない。自由だ。何をしても夜の闇が全てを包み込んでくれる。欲望のままに側転しても、遊具を占領しても、普段人目を気にして出来ないことも、何もかもが許される。
束の間の楽園、その存在に気がついたのはほんの1週間前だ。だが男はこの、自らを解き放つ快楽にたまらなく病みつきとなっていた。
今日もコートを脱ぎ捨て、公園を余すことなく堪能する。どのくらい時間が経ったのだろうか、不意に静寂を切り裂くサイレンが遠くから鳴り響いた。こんな時間まで仕事とはつくづく警察というのは哀れな仕事だ。興を削がれた男は、帰り支度のためにジャングルジムから降りようと足元を見下ろした。
人が、いた。それも一人ではなく数人で何やら話している。どうやらこれまでのようだ。男は名残惜しく空を仰ぎ、自らの楽園を捨てた。
「はい、お兄さん。公然わいせつ罪で現行犯逮捕ねー」
夜の公園 御角 @3kad0
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