恋してすぐ死

尊(みこと)

第1話

「学校だね。」

私は呼びかけるようにそういった。


バスケットゴール。それを見ると先輩を思い出した。先輩は美術部。私は家庭科部だった。

とある日の部活中。先輩は私の隣からそっと現れた。

「あ、あのさ、美波みはちゃんだよね?」

「は、はい」

「俺、3年の武田羽也しゅうや美術部からきちゃった」

そして先輩は軽く微笑んだ。

「/////……用ですか?」

十井らいいる?」

十井先輩はこの学校の顔。文武両道のイケメン。みんな好きだからバレンタインの日も多分すごいやばい。

「いませんけど、///」

「そっか…詩流しなちゃんは?」

詩流先輩は家庭科部の部長。みんなの頼れる先輩だ。裏では詩流先輩と十井先輩は付き合ってるだとか噂はある。

「部長は今日休みです。…//」

「そっかー、あ!あのさ今何してたの?」

「残りのものでクッキーでも、と思って、…」

「そうなんだ!美波ちゃんは料理うまそうだよねー!」

「クッキー、食べたいんですか?…」

「あ、バレちゃった?ま、できればだけどね」

「いいですよ、何なら全部あげます。」

「え?!なんで?!」

「好きな人もいませんし、実は私甘いのそんな好きじゃないんで」

「へー、ありがとう!」

私は話しながら準備をして先輩にクッキーを渡した。

「めっちゃ嬉しい!ありがとう!少し食べていい?」

すると先輩はすごく笑顔になった。

「めっちゃおいしい!やっぱり料理上手いんだね!」

どこか、恥ずかしく、嬉しかった。

「ありがとうございます。一緒に帰りませんか?…」

「ごめんね、俺やんなきゃいけないことあって、」

「そう、でしたか、」

そして私は校門に向かった。

「先輩、かっこよかったな、……////」

靴を履き替えていた。

「あ、美波ちゃーん!」

先輩だった。

「あのさ!美波ちゃん、今暇?もうすぐ帰っちゃう?」

「いや、暇です。」

「よし、じゃあこっちきて!」

そして連れてこられたのは体育館。

「俺さ、以外とシュートうまいから、みてて!」

(こんなことで呼んだのかな… かわいいな(笑))

スッ。先輩の投げたボールはゴールのど真ん中。どこにも当たらずスッと入っていった。

「ね!すごくない?!」

「先輩、バスケうまいんですね」

「いや、十井の隣でシュート練習してただけだから、ルールはわかんない(笑)」

「え?!」

「w、」

そして数分、沈黙が続いた。

「あのさ、」



先輩が口を開いた。

「俺、美波ちゃんのこと好きなんだよね。」

「え?…」

私はすべてが止まった気がした。

「よく俺が十井を迎えに来る理由は美波ちゃんに会いたいだけ。十井は詩流ちゃんのとこにずっといるから、美波ちゃんも一緒にいるし、ね、 ごめんね、いきなりこんなこと言って。じゃあ俺帰るね。」

先輩は下駄箱に歩いていった。

私はなにかハッとして先輩の元へ走っていった。空からはたくさんの雨が降っていった。

「あの!、…」

気がついたら先輩の袖を掴んでいた。

「好きです。…私も先輩のこと。…////」

「え、それって…」

「私で良ければ…」

「まじか、…めっちゃ嬉しい。…////」

「私もです。、/////」

「じゃあ、雨だし、相合い傘しちゃう?//」

そして私は先輩の傘へ入った。

帰り道。すごく楽しかった。

面白くて、嬉しくて、話してて始めて感じたような気持ちが出た。




「それでね、十井がさー!」

「あははは、」

私達は話に夢中になっていた。

ドォォォォン!シューーーッ!

大きな音がなった。

私は地面に座っていた。

「え?…」

先輩は、死んでいたどう見ても死んでいた。

「へ?、先輩?…」

私は気づかなかった。





「で、新井さん。どういう経緯でこうなっちゃったの?」

校長室で話していた。

「話に夢中になっていて。………!」

私はやっと気がついた。あのとき先輩は、私を押して私を車に引かせなかった。

ふと気がつくと涙が出る寸前になっていた。

「すみません。」

私はそういい、トイレに向かい、泣いた。泣いた。始めてこんなに泣いたかもしれない。






そしてあれから、毎日私は体育館のバスケットゴールを見て先輩を思い出した。



あれから数年。「学校だね。」

そう呟いてまた先輩を思い出した。


「羽也くん、…//////」

それは先輩の名前だった。

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恋してすぐ死 尊(みこと) @mikorintan

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