名状しがたい何かを相手にバックドロップしたくなるほど君が好き！

魔子ちゃんが好き！

　ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ、ダッ。

　ズザー。

　タタッ。

　ガチャ。

　ババッ。

　トン、トン、トン、トン、トン。

　タッ、タッ、タッ。

　ガラッ。

　ドサッ。

　ボフ。

「ぷは～～」

　今日も終わった。

　そして。

　家に帰れば部屋には魔子ちゃんがずらり。

　退屈な授業も魔子ちゃんが待ってると思えば耐えられる。

　ラノベ『魔導書使いの魔子』の魔子ちゃん。

　私と同じ十七歳の女子高生で、魔導書に描かれた魔獣を召喚、使役して悪と戦う魔子ちゃん。

　銀髪でスカイブルーの瞳をした小柄な女の子だけど、意外にパワーキャラの一面もあるのよね。

「あほかー！」のセリフとともにラリアットやドロップキック、バックドロップなんかのプロレス技でつっこみをいれのがお決まりになっている。

　プロレス好きなお父さんからの影響らしいんだけど、それがまた面白い。

　そんな魔子ちゃんが私の部屋にたくさん並んでいる。

　棚には原作小説、コミックの全巻に、掲載雑誌全部。

　アニメのブルーレイディスクや関連のCD類全部。

　その横にはフィギュアの入ったケース棚があって、壁にはタペストリーとポスター全種。

　グッズだって発売されている物は全てあるわ。

　そして、ベッドには等身大の抱き枕！

「は～～～～～」

　たまんない。

　──キュピーン♪

　あ、通知だ。

　スマホ、スマホ。

　えっと、アニメ公式からね。

　うーん、うん！？

　なん……、だと。

『魔導書使いの魔子ちゃん』アニメ第二期制作決定！！

　うおおおおおおおおおおお、どん！

　あほかー！　どん！

　うおおおおおおおおおおお、どん！

「姉ちゃん、借りてた──」

　あほかー！　ドン！

「どはっ」

　は。

　心の中にとどまらず、人型に反応してバックドロップしたわ。

「ふにゃあぁぁ」

　小学生でも私の弟。

　ベッドの上でやったんだし大丈夫でしょ。

　それより、魔子ちゃんの新しいアニメが楽しみ！

　うおおおおおおおおおおお、どん！