君を殺す寓話

水族館の館長の娘であるツェツィーリエ・ル・カインはウィロウ・セドゥに閉館直後の水族館にて出会う。彼女は用務室に閉じ込められていた。
水を求めるウィロウは水槽に向かって駆け、その身を水中に投げ出した。刹那、ウィロウの足に変化が現れ美しい尾鰭となる。

以降、ツェツィーリエは水族館の巨大水槽にウィロウを招くようになった。
縦横無尽に泳ぎ、煌めく鱗が光を反射する瞬間を眩しそうにツェツィーリエは見つめていた。
夜中の水族館、ウィロウの家のバスルーム、温かい海の浜辺。逢瀬を重ねて二人は絆を深めていく。
そんなある日のことだった。町にとある噂が流れるようになる。

『人魚の肉を食べれば、不老不死の肉体を手に入れることができる。』

二人にとって不穏な噂が囁かれる中、ツェツィーリエの父である水族館の館長が…続きを読む