第49話マルフード領内㊵初めての冒険者ギルド

「金貨2,500枚だ、受け取れ。」


机に金貨の山が築かれた。全てマジックボックスに入れておく。


「B級パーティーは下の酒場にいると思うぞ。探してみな。あぁそうだ言い忘れていたな。俺の名前はレオポルドだ。今後ともよろしくな。」


さてスキンヘッドとの話しは終わった。酒飲み達が集まる酒場にいくか。先程の受付の女と目が合うがサッと逸らされた。

トビ達を探して酔っぱらいのあいだを通っていると見知った男を見つけた。

「昼間っからよく飲むね。」


「あ?…リッカ!お前怪我はどうしたんだ?もう大丈夫なのか!?」


「もう大丈夫。それより酒瓶片手に詰め寄らないで、酒臭い。昼待っから飲むなよ。」


「今はいいんだよ!スタンピードが終わってお祭り騒ぎさ!皆仕事がない時は飲んでるよ。」


それでこの有様か。

「トビとニコルのパーティー知らない?」


「あいつらなら上で飲んでるよ。」


どんだけ飲みスペースあるんだよここ。2階に行くとトビ達がどんちゃん騒ぎをしていた。コイツらが1番うるさいかも。

「あはは!いいぞエミール!最高だ!」

<ふふふ、そうだろう?次は口から吹き出した酒に火をつけてやるよ!>

曲芸か。なんなら半裸で転がってるやつもいる。火事になる前に止めるか。


「それするくらいならエミールの面白い話聞かせてよ。」

<いいだろう!聞かせてやろう!あれは僕がまだ才能溢れる12歳の頃の「やっぱ長くなりそうだからいいや。」

「ぎゃはは!あれだろ?告白した女の子が実はオトコで彼女持ちだった話だろ?それ3万回聞いたぞ!ん?お前リッカか?…みんな英雄様のご登場だ!」


トビに脇の下に手を入れられて上に持ち上げられた。なぜだろうなんちゃらキングと言いたくなるのは。

「えー!可愛い!」「よくやったなガキンチョ!」「いいもんあるから飲め!」


…ダメだこいつら全員酔っててはなしにならない。ヒールかけたら酔いが覚めないかな?…ダメだった。そのまま酔っぱらいどもの気が済むまで遊んでやった。可愛い子供だから酒は飲まなかったぞ。

ニコル以外全員潰れた。あんなに飲んでたのに何者だこの男は。

「ギガンテスの分け前どうする?」


「君が6割でどうかな?残りは僕達で分けるよ。素材的に欲しいものある?」


「肉食べれる?」


「筋張ってて美味しくないらしいよ。ギガンテスの素材からは貴重な薬が作れるって聞くから高くで売れるよきっと。」


「じゃあ売った金額から6割ちょうだい。」


「わかったよ。錬金術使うメンバーはここにはいないからすべて売る方向で決まると思うよ。」


ニコルは立ち上がって床に伏しているエミールを背負った。

「どこに連れてくの?」


「あぁ、ちょっとエミールの服剥いで隣に寝かせて僕も裸になって既成事実を作ってしまおうと思ってね。」


なに考えてんだこの男は犯罪だぞ?やべぇやつかもしれないと思っていたがここまでとは。さすがにエミールが哀れだから止めてとこう。

「犯罪でしょ?やめなよ。別に同性だからどうこういうつもりはないけど「あっ!もしかして勘違いしてる?僕女だよ?」


え?…そうなのか。この世界に来て比較的豊かなお胸が多かったから分からなかった。スレンダーでスタイルのいい女性もいるよな。

「…どっちにしろ犯罪。」


「うーん、今回はやめとくよ。確かにエミールが起きてる時の方が面白い反応が見れそうだしね!エミールはこれでいて優秀な魔術師だしいじりがいがあるから捕まえとこうと思ったのになぁ。」


心底残念そうな顔をするな。初めて合ったB級パーティーは腕は確かでもノリのいい飲んだくれ集団だった。

ん?なんだか下の階が騒がしいな。2階の柵から覗いてみると母親が酔っ払い共と飲んでいるではないか。いかんこのままではお持ち帰りされてしまう。急いで母親のもとに向かう。

「リッカ!良かったぁ。少し遅いから心配で来ちゃったの。」


…このあいだ重症になったばかりだったな。飲んだくれなどに気を使ってやる必要はなかった。仕方ないから安心させてやるために今日は抱きついて寝てやる。

「何もなかったから安心して。用事すんだから帰ろう。」


「おいおい!坊主!エイミーちゃんを連れてくな!」「そうだぞ!こんな美人とひとつ屋根の下…羨ましい」「そうだぞ!一緒に酒飲むくらいいいだろ!」


「ダメ。」


ガッカリするなおっさんども。落ち込み方が半端ないから個包装の飴ちゃんをあげた。

「おい!おめーらいくらなんでもうるせぇぞ!ちっとは静かに出来ねぇのか!」


スキンヘッドが奥の部屋から出てきて怒鳴った。やはり子供が見たらギャン泣きレベルのだ。しかし母親をみると目を見開き時間が止まったように動かなくなった。…やな予感がする。ずんずんとこちらに近づいてきて母親の手を両手で握りやがった。

「この酒飲みどもが失礼した。名前を聞いても?」


「エイミーと申します。リッカの母親です。」


「名前まで美しい。突然だがご結婚は?」


「していません。それがなにか?」


「いや、俺にもチャンスがあると思ってね。何か困ったことがあったらいつでも相談してくれ。これが俺の家の住所だ。」


このスキンヘッド流れるように母親に住所を渡した。これ以上ここにいるのは危険だ。

「手離しなよスキンヘッド。母さんは自分と帰るから。」


「あぁ、ゆっくり休め。お前も対人戦がしたくなったら俺に言え。いつでも付き合ってやる。俺はギルド長兼A級の冒険者だからな。」


自分も懐柔しようとしているのがバレバレだ。それはそうとA級と対人戦できるのはいいな。使えるだけこき使ってやる。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

冒険が少なくてすみません。

○補足

リッカは対人戦の経験がほとんどありません。ログやエルフ達と少しした程度です。


なぜギルド長のなのにいなかったのか?

A級は国の指示で討伐のためスタンピードの予兆がある前から集められていて情報が耳に入るのが遅く急いで帰ってきたら全てが終わっていました。

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やられたことはきっちりやり返します 白川英二 @Riana0401

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