中学時代のある誤解が原因で、クラスメートの早乙女一華と険悪な関係になってしまった杉下凪。その誤解は未だ晴れず関係は最悪なまま同じ高校に通っているのだが、夏休み明けのある日、二人は担任教師によって文化祭の実行委員に任命されてしまい……。
本作の何が凄いかって、主人公とヒロインの二人が醸し出す空気のギスギスっぷりよ。ツンデレとかそういうのじゃなくて、会話してるだけで教室中の空気が悪くなるし、読んでいるこっちの胃が痛くなるレベル。しかしタイトルを見る限り二人はここから3ヶ月半で、キスする関係になるというのだ……! 行けるかなぁ……早乙女さん彼氏持ちだし……。
そんな色々な不安もあるけれど、文化祭に向けた活動を通して二人が距離を縮めていく過程をゆっくりながらも丁寧に書いているのが好感触。登場人物も地に足のついた等身大の高校生としてしっかり描かれており共感しやすくなっているのもお見事。だからこそ二人のギスギスっぷりの生々しさが強烈……!
この相性最悪な二人の関係をどのようにして綺麗に着地させるのか? 甘さという点では現在のラブコメの主流に反しているかもしれないが、先が気になるという点では決して数多のラブコメに引けを取らない注目作だ!
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=柿崎憲)