第3話 見える?見えない? 幽霊だけど…

さぁ、除霊クリーニングを始めよう!


しかし、相手は姿が見えない幽霊だ。

先ずはターゲットを見つけなきゃね♪


一般的に幽霊は普通の人間には見ることが出来ない。

空間的には同一でも 「位相」が異なる世界に彼等はいるから。


この世界をテレビに例えてみると解りやすい。


テレビは一台で複数のチャンネルを視聴可能だ。

これは「テレビ」と言う空間の中に

た「チャンネル」と言う世界が同時に多数存在していて

私達はその中から一つを選んで見ている。


その時、他のチャンネルは見ることが出来ないだろ?


つまり幽霊達が人間に見えないのは

「チャンネルを合わせる事が出来ない」と

言う事なんだな。


おまけに位相にもランクが存在する。


人間界はランク1。

幽霊たちの世界「霊界」はランク2。


上位ランクの位相から下位の位相は見ることが出来るけど

その逆は出来ない。

そして、上位位相の存在は下位位相の世界へ

「姿を現す事」が自分の意志でできる。


もし、君が幽霊を目撃したとしたら。

それは幽霊が君に姿を見せようとする意志があると言う事なのだ。


人間は位相ランク上位の幽霊を見ることが出来ない。

しかしながら、例外もある。


退魔師クリーナー

彼等は自身の霊力を使って位相を変更できる。

つまり、チャンネルをチューニングして

位相ランク2の「霊界」を見ることが出来るのだ。


ただし、これには多大な霊力を必要とする。

よって、平均的な退魔師クリーナー

補助器具を使用する事になる訳だ。


霊視用の仮面とか、霊視ゴーグルが一般的だね。


どちらも微量の霊力消費で霊界へのチューニングが出来るのが

素晴らしい。

近年の霊能補助具の進化は著しく、退魔師クリーナー

負担を軽減する効果は抜群。


ただし、その購入金額はかなり高額で、駆け出しの退魔師クリーナー

借金をして購入する事が多い。

しかし、これがないと仕事にならないため、「必要経費」と

割り切っているようだ。


霊視装備装着でターゲットの幽霊を探せるようになる。

のだが…。


蛍は左手でOKマークを作り左目に当てた。


「オープンチャンネル・ワン!」


蛍の左目が色彩を変える。

蛍の瞳は標準的な日本人と同じ

「茶色がかった黒色」であるのだが。

先ほどのコールで左目の瞳がオレンジ色へ変化した。


能力の優れた退魔師クリーナーは装備無しでも

霊視ができる。


蛍のオレンジ色の瞳はチューニングを完了し

霊界を認識出来るようになった!


「流石にこの時間だと、あまり人出幽霊の数はないみたい…」


蛍の左目は地下街通路を行きかう幽霊たちを眺めている。


深夜23時を回っている現在。

人間界では各入り口が閉鎖されて、ここへ来る事は出来ない。

今、通路を歩いているのは全て、幽霊だ。


蛍はその中に顔見知りを見つけた。


『おじさん、久しぶり!元気してた?』


30代に見える幽霊は蛍に顔を向けて疲れた笑みを見せた。
























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水上 蛍の事件メモ -霊能事件は天才少女、蛍におまかせ!- 隼 一平 @alex5604

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