第3話 ウェルカム トゥ アドバイザー
5月X日 17:50
前回配信をしてから数日、今僕は胸がはち切れそうなほどに緊張している。
なんと、配信を見てくれた人がいたのだ!閲覧数は2!2人もだ!
し、しかもしかも!コメントまであったのだ。急に告白されても迷惑、まずは会釈からっていう具体的なアドバイス!そして今日の18:00ならあいてるってコメントを見たとき、心臓が止まるんじゃないかってほど驚いた。
すごくうれしかった。
でも、コメントにはせめて映像をつけなよともあった。たしかに真っ暗な画面で声だけ聞こえてもつまんないし、ちょっと怖いよね。
わからないなりに、にっこりした口元のマークが有名な通販サイトでWEBカメラを購入してみた。レビューで差し込むだけって書いてあったからきっといけるはず!
18:00になった。ドキドキしながら配信サイトのビデオマークをクリック!配信開始だ。
『も、もしもーし?ケイです。見えてるー?』
WEBカメラを覗き込む。パソコンに映る配信画面を見ると、僕の姿が写っている。大丈夫そうだ。
『こっちでは見えてそうなんだけどどうかな?あっこれチャットでコメントしてくれたのってどこで見るんだろ?』
マーフ:[おおぉい!初手顔のドアップかよ!]
パソコン画面を見つめていると、右下のほうにコメントが出ている。これだ!
『こ、コメントが!チャットコメントがある!見つけたよー!ええっと、初手顔のドアップかよ!へへへ、ごめんね?WEBカメラ買ってみたんだけどテストの仕方わかんなくて。レビューに差し込むだけでいけるって書いてあったんだけどほんとに差し込むだけで映ってよかったー』
[ワンコ系か。けっこうかわいい顔してんじゃん。てか、恋愛相談ってことだけど顔出しして大丈夫なん?]
『えっと、かわいい?ワックスもつけてるんだけどなぁ。顔出しして大丈夫?どういうこと?映像欲しいっていうから』
どういうことだろう?なにか映し方がまずいのだろうか?
[いや、現状オレ1人しか見てないけど、アーカイブにも残るわけじゃん?学校の知り合いとかに見られても恥ずかしくないのかなー、と]
『学校の知り合いに、、?見られたら、恥ずかしいよ!えっどうすれば、どうすればいいの?助けて!助けてよマーフさん』
問いかけてからチャットがくるまでの間がたまらなく不安になる。これがラグか?ラグなのか?
こんなことで初めての名前呼び草。映像欲しいって言ったけど真っ暗な画面はないだろってだけで何か映ってればいいんだよ。首から上を映さない人も多いし体が見えればいいから]
えっ、体だけでよかったの?男の体見て楽しいの?よくわからない。よくわからないがとりあえず立ち上がることにした。WEBカメラは机の上に置いてあるだけなので、とりあえずこれで顔は映らない。
『立ちます!いやー、危なかったー。今も視聴者数1になってるからとりあえずマーフさんにしか見られてないや』
えへへへと笑っているとしばらくしてチャットがくる。お話し楽しいけどラグがすごいなー。
[マーフ:いや、アーカイブ。アーカイブあるから。なに?マジでいろいろわからない系だったりするの?]
『すいません、マジで色々わからない系です、、。なんとかする方法、知ってたら教えてください』
[マーフ:マジかー、じゃあまずカメラはもうちょい手前に置いて、そしたら椅子に座っても肩までしか見えないから。んで、この配信閉じる時は配信画面の右上にある公開設定を非公開に]
〜〜〜
しばし、マーフさんの教えてくれるがままに物を動かして設定をいじっていく。ラグについて聞いたら超低遅延というラグの少ない配信設定の仕方を教えてもらえた。
[で、これが最後。右上の縦の3点リーダー、えっと、縦に点が3つのマークのとこをクリックして、チャットのポップアウトをクリック。そうするとコメントのURLがでてくるからそれをコピーして]
『チャットのポップアウトの、URL、URL、あった!できました!』
[そしたら、配信ソフトのソートって書いてある欄の左下のプラスをクリック。出てくる枠のブラウザをクリックしてペースト、それから]
〜〜〜
魔法の呪文のようにしか思えない指示を一つ一つカチカチしていくとこれまでのマーフさんのコメントが画面に表示される。しかも透過の仕方も教わってしまった。すごいけどなんでこんなに詳しいんだろ。
[配信画面のいい感じのところに動かしてみ?]
『おお〜!見たことある!これ見たことあるよ!すごーい!』
配信サイトでみたことのある画面みたい!
[よし!コレでバッチリだな。おつかれさま落とす時非公開にすんの忘れるなよ?]
『おつかれさま〜!うん、非公開にして、と。これでよし』
カチッと配信終了ボタンをクリックする。
ん、、?配信終了?今回なんも相談できてなくないか?いやいやいやできてない!しかも非公開じゃん!
僕は慌てて再度新しい枠で配信開始する準備をするのであった。
きっかけは些細なことで @Dizabo
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