かもしれない世界なら届く可能性があるって

主人公の判断基準は、股間にあるものをバロメーターにしているところが面白い。

勃起とは、精神的に励まされる、やる気が出るなど広い意味で使われていた。
だが、時代を経るにつれて陰茎が海綿体の充血により大きく硬くなることを意味する時にしか使われなくなった。

なので、本作も後者の意味だと思われる。
けれども、ひょっとすると前者の精神的に励まされたりやる気が出るなどの意味合いも込められているかもしれない。

柏木は刺されて死を前に「自分がセックスが好き」と、生の衝動に気づく。
主人公も想いが叶わず絶望して死を意識し、これまでにないほど勃起する。
つまり、生の衝動に気づくのだ。