胡椒の夢

 「胡椒の夢」は中国の思想家荘周(荘子)が見たという夢についての説話が元となった言葉です。(嘘)


 荘子は思想家であると同時にスパイス研究者でもあったことは有名な話です。


 彼は一日中スパイスをすり鉢ですりつぶしながら思索にふけっていました。


 スパイスをこよなく愛した荘子でしたが、一つだけ苦手とするスパイスがありました。


 それは胡椒です。


 彼はスパイスをゴリゴリとすりぶすときの音と香りで集中力を高め、様々な思想を練ったのですが、胡椒だけは避けていました。


 なぜならくしゃみが出るからです。


 胡椒によるくしゃみで思考が中断されることを荘子は嫌いました。


 スパイスの王胡椒を避けるというのはスパイス研究者として忸怩たる思いがあったのでしょう。


 荘子はあるときひたすら胡椒をすりつぶしました。


 荘子はくしゃみを繰り返しながら胡椒をひたすらすりつぶしました。


 いつか胡椒を克服してくしゃみがでなくなると信じていたのです。


 常人の一生分のくしゃみはしたかという頃、すっかり日が暮れていました。


 荘子はくしゃみのし過ぎで頭が朦朧とし、鼻は痛み以外の感覚がなくなっていました。


 それでも荘子は胡椒をすりつぶし続けました。


 気がつくとくしゃみがでなくなっていました。


 荘子は狂喜しました。


 ついに胡椒を克服した!!


 最早くしゃみにビクつきながらものを考える必要はない。


 荘子は更に胡椒をすりつぶしました。


 今まで浮かんだことのないような素晴らしい考えがいくつも思い浮かびました。


 思考に翼が生えたような感覚に荘子は歓喜しました。


 部屋一面が胡椒で埋まったとき、荘子は目覚めました。


 くしゃみを3連発。


 鼻からたれた血を見て荘子は夢を見ていたことを知りました。


 ああ夢だったのか。


 舞い上がったすり鉢一杯の胡椒で荘子はくしゃみを連発しました。


 くしゃみをするたびに先程思いついた思想が消えていきくのを感じました。


 荘子の素晴らしい思想の多くが胡椒の夢と消えたのでした。


今日の故カレー事成語

「胡椒の夢」


意味

 夢ってすぐ忘れるよね。


 



 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

故カレー事成語 菅沼九民 @cuminsuganuma

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説