呉越同臭

 「呉越同臭」とは中国の兵法書『孫子』に記載が見られるエピソードが元となった言葉です。(嘘)


 呉と越というのは中国の春秋戦国時代に戦争を繰り返していた二国です。 


 国境付近では常に軍隊が睨み合っている状態でした。


 あるとき、偵察のため国境付近を巡回していた呉の兵士がうっかり道に迷ってしまいました。


 方向音痴な兵士は自分の陣地がどこかわからなくなり、日が暮れるまで彷徨いました。


 日が落ち、もはや周りの景色もよく見えなくなった頃、兵士はかぎなれた匂いが漂っていることに気付きました。


 兵士はその日が毎週恒例のカレーの日だったことを思い出しました。


 きっと呉軍の陣地でカレーを煮ているに違いない。こんな素晴らしい匂いのカレーは蛮族の越人には作れるはずがない。


 そう考えた兵士は匂いを頼りに歩いていきました。


 そして、兵士は思った通り陣地にたどり着くことができました。


 無事に仲間のもとに戻れた感動で、兵士は鎧を脱ぎ捨てて駆け寄りました。


 兵士は喜びと疲れで涙を流しながらカレーをむさぼり食いました。


 他の兵士たちは彼の様子を不思議そうに見ていましたが、あまりにも美味しそうにカレーを食べるのでわれもわれもとカレーを食べました。


 次の日の朝、兵士が目を覚ますと周りには見慣れぬ者ばかりでした。


 そうです。兵士は間違って越の陣地に入り込んでしまっていたのです。


 兵士は驚いて敵の陣地を抜け出したということです。


 兵士は味方の陣地に戻ることなく出奔しました。


 越のカレーの味を知ってしまった以上、兵士はもう越の人を殺すことはできないと思ったからです。


 越の人の作るカレーの匂いは呉の人の作るカレーのそれとなにも違いませんでした。


今日の故カレー事成語

「呉越同臭」


意味

 カレーに貴賎なし。

 

 

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