覆カレー白に返らず

 「覆カレー白に返らず」(服カレー白に返らずとも)という言葉のルーツは諸説ありますが、概ね日本の奈良時代頃に成立したとする説が有力です。(嘘)


 これはあまり知られていないことですが、実は日本では奈良時代頃からカレーが食べられていたとされています。(大嘘)


 奈良時代には漢方薬として香辛料が中国から日本に持ち込まれていました。


 有名なところでは、仏教を伝えるため渡来した鑑真が聖武天皇に献上した胡椒、クローブ、シナモンなどが正倉院の宝物庫に保管されています。(ホントらしい)


 当時の貴族の間では、スパイスを漢方薬として服用する以外に、カレーとして食する人がいたようです。(以下嘘)


 その証拠に奈良時代末期に成立した和歌集『万葉集』にはカレーについて歌われた和歌が何首も収録されています。


 いくつか紹介します。


「洗えども 袖に残りけり この染みは

 カレーや思うと 死ぬまでとれへん」

(洗っても落ちないこのシミはなんだろう。あ、これカレーやん!もう一生取れへんわ……)


「君がため エプロンつけて カレー煮る

 我が衣手に ルウがはねつつ」

(君のためにエプロンをつけてカレーを作っていたら衣の袖にルウがはねてしまったよ)


「春過ぎて 夏来にけラッシー 白妙の

 衣についた 甘口のカレー」

(春が過ぎて夏の陽気の中でラッシーを飲んでいる私の白い袖には甘口カレーのシミがついているよ)


 いずれも詠み人知らずですが、奈良時代で確かにカレーが愛されていたことを示す歌です。

 

 また注目したいのがいずれの歌でも衣服をカレーで汚してしまっていること。


 お気にの服を汚してしまってさめざめと泣く貴公子たちの姿が目に浮かぶようですね!


 「覆カレー白に返らず」または「服カレー白に返らず」というのはこうした貴公子たちの悲しみを表現した言葉だと考えられています。


 カレーのシミは中々取れず、白い服についてしまえば二度と元の白さに戻ることはない。


 そこから転じて、現代では「取り返しのつかないこと」という意味で使われるようになったようです。


 似た言葉に「覆水盆に返らず」という言葉がありますが、取り返しつかなさ具合が段違いですね。


今日の故カレー事成語

「覆カレー白に返らず」


意味

①服についたカレーのシミは消えることはない。

②取り返しのつかないこと。






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