死ねばいいのに
風鈴
死ねばいいのに
君なんて、信号無視した車に轢かれて死ねばいいのに。
君を轢いた老人は守られて、名前も知られずまたハンドルを握る。その度君の死体を思い出して、手の震えが止まらないんだ。
人は君のような犠牲者を出さない為に免許の返納を推奨するし、教習所で君の死を紹介する。
君はきっと人々の学びになるよ。
君なんて、飛び降り自殺に巻き込まれて死ねばいいのに。
人生に絶望した自殺希望者の下敷きになって、君だけが死ぬ。君を殺したその人は君の分まで生きるなんてことはしない。
命をかけた一歩を踏み出したのに、全部台無しにされたと君の死体を何度も何度も思い出す。
君はきっと邪魔者として憎まれるよ。
君なんて、顔も知らないストーカーに刺されて死ねばいいのに。
最後に見るのは知らない誰かの歪んだ愛。世界で一番汚い物をぶつけられるんだ。
その人は君の死体を思い出しては愛が実ったんだと興奮する。
君はきっとその人の永遠になれるよ。
君なんて、医療過誤で死ねばいいのに。
皆が君の死を怪しんで、内臓まで抉り取って調べ上げる。そうして関わった医療従事者達を卑劣で最低な犯罪者にする。
人の悪事を暴きたい偽善者は喜んで声を荒らげる。君の死体なんて興味ない。
君はきっと誰も得しない事実を作るよ。
君なんて、私の目の前で死ねばいいのに。
私は君の最期を見届ける。冷たい手、閉じない瞼、鼻をつく臭い、聞こえない声。全てで君の死を覚える。
君はきっと私の絶望になるよ。
君なんて死ねばいいのに。
君なんかが生きてるから私は死ねないんだ。
早く死んで、私の生きる意味まで殺してくれればいいのに。
君なんて死ねばいいのに。
死ねばいいのに 風鈴 @wind_bell
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます