おこぼれ

荒川馳夫

おいしいものがたんまりと!

 オレは腹を空かせていた。何か食べるものはないかと必死に探し回っていた。

モシャモシャ、ポロポロ……。ん、何の音だろう?


オレの頭上で大動物が食べ物をほおばっていた。しかし、すべてを口に入れているわけではなく、食べ物のかけらを落としているようだ。


 オレは急いで、そのかけらにありついた。おいしい!おいしいぞ!

ごちそうだ。こんなにおいしいものを食べているなんて、うらやましい。

しかし、アイツらはこんなにおいしいものを床に落としても気にしないのか。

もったいことをしているなあ。


ん、大動物が何か言っているぞ。


「ちょっと、食べ方が汚いよ。なおしなさい」


「いいじゃん、食べ物は腐るほどあるんだから」


お、ほかにも食べ物があるのか。これで飢えずに済みそうだ。

オレは小さな羽をブルブル動かし、大動物の近くに住みつくことにした。


オレは思った。いやあ、今はいい時代になったもんだと。




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おこぼれ 荒川馳夫 @arakawa_haseo111

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