無能、怠惰、自信過剰。権力争いに敗れ自刃した皇子は転生して何を成すのか

 まずは1話を読んで貰えれば、この物語がこれまでの転生モノと一線を画していると分かるはずです。
 主人公ジェオの転生前はとある国の第二皇子。継承権争いに敗れて追い詰められ、自刃の際に彼が思ったのは己の不甲斐なさ。そして自分を取り巻く者たちへの懺悔でした。
 概ねの転生者は個人の後悔をバネに「やり直し」ますが、ジェオの根底にあるのは立場ある者としての後悔なのです。

 どうです?面白そうでしょう?これが実際面白い。

 チート能力も女神ではなく、意識世界で触れ合った他者の人生から得た技術や知識というのが斬新ですし、派手な戦闘とモノづくりパートも著者の工夫が盛り沢山。サラリとした描写の中に深い設定が隠れています。

 これが上手い。否、旨い。

 古風な文体の一人称なのに舞台は西洋風世界。この感覚は他では味わえないオリジナリティです。

 とにかく1話。取り敢えず2話。どうせならイッキ読み!

 是非ご一読下さい。

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