ゴリラ イズ グレイティスト。
- ★★★ Excellent!!!
とんでもねぇ作品に出会っちまった。
今までレビューした作品はわずか。
物語を十分に味わい、キャラや設定に納得し、魂が震える程の盛り上がりを経てやっと、「書きたい!!伝えたいっ!!」との衝動に駆られる。
しかし、この作品はすぐにでもレビューしたいと思った。
まだ二章を読み終えたばかり。…何故だろう。
私の脳がゴリライズされてしまったのだろうか?
この作品は最初から何かが違った。
いや。「何か」などと曖昧に形容してはいけない。
この作品はつまり、「ゴリラ」そのものだったのである。
な…なにを言っているのかわからねーと思うが(以下略)
主人公は異世界に異世界ゴリラとして転生した昭和の香りのする四十過ぎのオッサン。
本来地獄行きだった魂をある一柱の神、アートマンに救われた彼はしかし、転生先に於いて生前の業(カルマ)に対する罰を科される事となる。
それは、その地の「人外」と共に生きる事。
人外、すなわち異世界に住まう魔族達である。
主人公はプロのゴリラとしてその本能に従い、滅びを待つだけだった母なる神アートマンの信徒でこの世界を満たすべく、魔族達を自らの家族として迎え入れ生きていく。
それがこの物語の骨子である。
そんなゴリラの物語であるが、まず作中の至る所に素敵にゴリライズされた下ネタが散りばめられている。
読み始めた当初は、なんて下品な…と感じたが、そんな自分は過去の汚物である。既にヒャッハーで消毒済だ。
考えてもみて欲しい。ゴリラの生殖本能を下ネタなどと言っては、母なるアートマン様がお怒りになる。
当たり前の事なのだ。自然の営みである。
ゴリラの雄度を舐めてはいけない。
そう、巷に溢れるハーレム物など児戯に等しい。
そして、魔族達の王たるゴリラは群れを統べるべく、他種族を纏めあげ、拠点を広げていく。
この過程が実に楽しい。
ゴリラは情に厚く仲間思いでもある。
しかもこのゴリラ、かなりの紳士っぷりを遺憾なく発揮。
伊達に人間で四十を過ぎて生きていない。
モテて当然のダンディゴリラだ。
淑女に対する扱いも実に心得ている。
時には本能の塊であるマイサンを右手で殴り付け諫める事も厭わない。
ただの俺YaRiTeee!!ではないのだ。
さらに、作品を彩る数々のパロディネタ。
ネーミングの妙。端的に言って変態である。
笑わずにはいられない。おいコラ!ふざけてんのか、と。
しかしこの作品は、作品自体がゴリラの如く筋骨隆々とした筋肉と骨格とで構成されている。
つまり、変態作者様の類まれなる知識と筆力に裏打ちされた、しっかりとした世界観と設定があるのだ。
根底にあるのは人類による魔族・魔獣への迫害、蹂躙。
その仲間を救うべく人類に敵対する主人公ゴリラのイケメンぶりたるや…
一方、魔族を虐げる人族の所業には目を背けたくなること必至である。
そんな骨太ファンタジーにこれでもかと、パロディネタと変態ネーミングの嵐が吹き荒れる。
まさに、上等な料理にハチミツをブチまけるがごとき所業ッ!
しかしこれが実に美味い。
この味を覚えてしまったが最後。
次第に脳がゴリライズされて、このゴリラに夢中になってしまう。
人類絶対ブッ殺すマンとなったイケメンゴリラの活躍に期待せずにはいられないのだ。
また一つ日々の楽しみが増えた事に、イケメンプロゴリラーとこの物語を生み出した神アートマン様に感謝を捧げ、私のゴリライズを完了とさせて頂きたい。
(追記)
…………と思っていた時期が私にもありました。
全く完了してなかったよ!!
全然、甘ちゃんゴリラーでした!!
第三章を読み終えた私は、平身低頭して全力の謝罪ッ!!
五体投地して作者様に完全なる服従の意ッ!!
こりゃ、すげぇ作品ですわ……
何すか「世界が定めた設定」って。
ゴリラが全力でその「世界」とやらを殴ってるよ!!
テンプレ勇者を全力で殺しに来てるよ!!
そして物語が進むにつれ、更にこの作品の世界観は深みを増すばかり。
全く以て底が見えねぇ…
この作品、筋骨隆々なだけじゃなくて、そのオツムには深遠なる叡智が溢れておりました。
訂正します。
ハチミツかけてもビクともしない、極上の料理でした。(絶句)
アンマンサン・アーン。(白目)