色とりどり、様々な味わいの詰まったお菓子箱のような作品

本作は短編集である。どの話から読んでも良い。気になるタイトルがあれば、そこから読んでしまっても良い。
だが、本作品にある物語は、どの話も味わいが違う。ネガティブな意味ではなく、本作だけで、様々な世界を楽しめるのだ。
現代社会の話がある。中世ヨーロッパの話がある。不思議な話がある。不気味な話がある。感動する話がある――。

どこから読んでも、しっかりと貴方を楽しませてくれる。
堅い文章も、崩した表現も、豊かな知識も余す所なく描かれているのは、偏に作者様の技術によるものだろう。

このレビューが目についた諸兄よ、何をしている。早くこの作品を読むのだ。
確かな味わいが貴方を読書の世界へと引き摺り込んでくれるだろう――。