ツンデレと快男児。男同士の友情が発展する様が美しい
- ★★★ Excellent!!!
市瀬さん、とても素晴らしい中編小説をありがとうございました。とてもこの小説好きです。楽しく拝読しました。私からは感想として、面白かった・良かった点を3つ、それから、ひとつだけご提案をさせていただきたいなと思います。
まず最初の良かった点は、「――――スター・バースト・スラーッシュ!!」です!めちゃくちゃ笑ってしまいました。あの、ジャンプ黄金期の名作、ダイの大冒険のアバンストラーッシュ!を思い起こさせるもので、おもわず吹き出してしまいました。こういうユーモアがスパイスになって、楽しく読み進めることができたと思います。あまりはっきり言葉にならないのですが、戦闘シーンや男子間の友情の描き方に、私の好きなダイ大の匂いを感じました。これは気のせいでしょうか。
次に良かった点は、メインキャラクターの男子2名の心理描写のうまさだと思います。ともにキャラがはっきりしてますし、真剣な戦いでの団結を通じて、一方にあったわだかまりが解消されていく、それがよい結果をだしていく、そういう、読者が期待するプロセスや結末をきっちりときれいに描き出してくれていたと思います。快男児に対する主人公の人間的な感情、人間臭さにとても共感しました。
もう一つ良かった点は、軽妙さを失わなかった点です。ある程度、真剣なバトルを描く必要があって、傷などを負うわけですけれども、ストーリーが深刻に重くなることがない筆力はすごいと思いました。それがゆえに、安心感をもってバトルを楽しむことができたと思います。
ひとつだけ、こうしていればもっとよかったかもしれないという点を述べるとするならば、最初の説明書きにある、”秋斗をめんどくさいと思う主人公の気持ち”という設定でしょうか。私も個人的に、秋斗のようにはなれないので、あのような清々しい、明るく嫌味がない、さっぱりとした男性にあうと、ちょっとした嫉妬心であったり、意地悪したくなる気持ちがでてくるのを感じます。それがどこから来るのかというと、それは、決してそういう人たちをめんどくさいと思っているのではなくて、普通の人がもっている人間的な弱さ(意地の悪い気持ち)に対するデリカシーのなさにあるのではないか?そんな風に、このストーリーを読んで感じました。あくまで個人的な捉え方ですが、そうしたデリカシーのなさに焦点をあてると、より二人の関係がはっきりしてくるかもしれない、そう思いました。
いずれにしましても、全体的に非常に読みやすく、とても大好きな小説です。ぜひこの世界観と、市瀬さんの筆力で、続編を期待したいです。陰ながら応援させていただきます。素敵な作品をありがとうございました。