企画入賞レビュー「恋と結婚は違うもの」
- ★★★ Excellent!!!
耽美にして瀟洒、バラの香りが漂う華族の結婚生活を描いた傑作です。
恋と結婚は似て非なるもの。ましてや貴族であれば、子孫を残さねばならないし、お家同士の関係やしがらみも多々あるものです。自由な恋愛なんて許されるはずもありません。頭でそれを理解しながらも、心の奥では恋に恋焦がれる奥様がこの物語の主人公。
対する旦那さまは、上辺こそ良識ある夫として振舞いながらも心はどこか他の女性に奪われてしまった模様。
美しくもどこか歪な結婚生活が圧倒的技量の文章で描かれています。
旦那が誰を愛そうと、それでも正妻は私なのだから、勝ったのは私。
そう言い切ることも出来たはずなのに、愛人風情に敗北感を覚えてしまうのは……きっとしがらみから逃れたがる愛人や旦那の気持ちが自分でも理解できてしまうからなのでしょう。
心から相手を憎むことも出来ず、諦観と共に噛み合わぬ歯車を受け入れる夫婦。
でも、多くの結婚生活とはそんなもので…結婚と恋愛は本来別の物なのでは?
そんなものなのか? 華族の娘として生まれたからには仕方がないことなのか?
結婚と恋の違いについて深く考えさせてくれます。
大人の恋愛に興味がある方は是非!