noir

容原静

第1話

この世界がなかった頃のお話。

純粋に光だけがあった。

それ以外は何もなかった。

光はただ輝いていた。

世界は平穏だ。

あるとき、血痕が降ってきた。

血痕は光を潰した。

光は痛いと叫んだ。

血痕はそれほど大きくない。

まだ小さな被害だ。

光は血痕をゆっくりと蒸発させる。

素の純粋な光へと戻っていく。

血痕は時々降ってくる。

光はその度傷つき、再生する。

何処から血痕が降ってくるのか不明である。

あるとき、凄まじい量の血痕が降ってきた。

光が再生するには難しいほどの量だ。

降ってくる間隔が短い。

光は純粋に輝けなくなる。

光は叫び続けた。

光は拡散した。

飛び散った。

色々な場所へ。

それが我々の世界では星と呼ばれている。

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noir 容原静 @katachi0

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