薄雲(うすぐも)

 明石の御方は娘の姫君を源氏と紫の上に託します。実の母親としての苦悩は言うまでもありません。源氏が姫君を迎えに来る日、雪の中、明石の御方は涙を浮かべて娘を見送りました。二条院では袴着の儀式が行われ、紫の上もこの姫君をかわいがります。



 一方、政界では太政大臣(頭中将、故葵の上の父、源氏の義父:かつての左大臣)が亡くなり、天変が相次ぎます。その最中、源氏が深く愛し、深く慕う藤壺が37歳で崩御します。源氏は悲嘆の余り、持仏堂に引きこもり、泣き暮らします。


 その法要が一段落した頃、冷泉帝のもとに藤壺に仕えていた夜居の僧が現れ、ひそかに、冷泉帝の出生について語ります。

 冷泉帝は初めて自らの出生の秘密を知りました。父は桐壺帝ではなく、異母兄だと思っていた光源氏だったのです。

 冷泉帝は「父」を臣下の身分に落としていながら帝となっているために天変が相次いでいると考え、源氏に位を譲ろうとします。しかし源氏はこれを拒絶するのでした。

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『源氏物語』超入門 蓬葉 yomoginoha @houtamiyasina

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