松風(まつかぜ)

 二条東院が完成し、西の対には花散里が住みます。源氏は東の対に明石の御方を迎えるつもりでした。しかし、父の明石入道は京郊外、大堰川付近の山荘を修理して、そこに娘の明石の御方を住まわせるつもりだったのです。ここには源氏との身分の差を気にする明石の御方や入道の意識があったようです。またそこには、源氏が嵯峨野に建てた御堂も近くにありました。ついに明石の御方は、明石から母の尼君や、娘の姫君とともに上京します。明石入道は、一人明石に残りました。

 ようやく上京した明石の御方でしたが、はじめ源氏の訪れはありませんでした。しかし源氏は紫の上を気遣いつつ、御堂の様子を見に行くのを口実に大堰川山荘を訪ねます。そこで3年ぶりに明石の御方と再会し、また娘の可愛さに言葉を失います。

 

 源氏は明石の姫君を、将来帝のきさきにと考えていました。身分の低さを補うため、源氏は彼女を都に引き取ることを決めます。その上で源氏は姫君を紫の上の養女としました。子供好きな紫の上は姫君をかわいがりますが、実の母から娘を引き離したことに源氏ともども罪悪感を覚えます。

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