拓跋珪39 柴壁

7 月、拓跋珪たくばつけいは西方討伐に乗り出した。8 月、柴壁さいへきに到着。対する姚平ようへいは守りを厚くしている。そこで軍を進め、包囲。姚興ようこうもまた姚平救援のため軍を挙げてやってきたが、拓跋珪により撃退された。


そして二ヶ月後の 10 月、姚平は汾水ふんすいに身を投げ、死亡。柴壁城は陥落し、三万人あまりを捕らえた。将としては狄伯支てきはくし唐小方とうしょうほう姚梁国ようりょうこく雷星らいせい康官こうかん康猥こうわい姚伯禽ようはくきんを、それ以外にも四十人あまりを捕虜とした。また北魏より亡命した王次多おうじた靳懃きんきんについては殺害。姚興は捕縛将の返還を何度か求めたが、拓跋珪はすべて却下した。臣下らはこのまま南下し、蒲坂ほはんまで制圧すべきだと勧めたが、こちらについても拓跋珪は却下。柔然じゅうぜんの再侵攻に備え、帰還した。


11 月、拓跋珪は晉陽しんように到着。ここで庾岳ゆがくを司空に任じ、莫題ばくだいには上黨じょうとうで強盗働きをする秦頗しんは翟都てきとを討伐させた。秦頗は捕縛の上殺害したが、翟都は林慮りんりょに逃亡した。


12 月、拓跋珪が平城へいじょうに帰還。柔然の社崙しゃろんがこのとき既に国境付近にまでやってきていた。そこで拓跋遵たくばつじゅんに迎撃に出させたが、拓跋遵軍到着の頃に柔然軍は既に撤収していた。越勤莫弗えつきんばくふつが部民一万世帯あまりを引き連れ投降してきた。五原ごげんの北に居住させた。


この歲、禿髮利鹿孤とくはつりろくこが病死。弟の禿髪傉檀とくはつじょくだんがあとを継ぎ、北魏に遣使をなした。




秋七月戊辰朔,車駕西討。八月乙巳,至於柴壁,平固守,進軍圍之,姚興悉舉其眾來救。甲子,帝渡蒙坑,逆擊興軍,大破之。

冬十月,平赴水而死,俘其餘眾三萬餘人。語在興傳。獲興征虜將軍、尚書右僕射狄伯支,越騎校尉唐小方,積弩將軍姚梁國,建忠將軍雷星、康官,北中郎將康猥,平從弟伯禽已下、四品將軍已上四十餘人。獲先亡臣王次多、靳懃,並斬以徇。興頻使請和,帝不許。羣臣勸進平蒲坂,帝慮蠕蠕為難,戊申,班師。十有一月,車駕次晉陽。徵相州刺史庾岳為司空。遣左將軍莫題討上黨羣盜秦頗、丁零翟都於壺關。丁丑,上黨太守捕頗,斬之,都走林慮。十有二月辛亥,至自西征。蠕蠕社崙犯塞,詔常山王遵追之,不及而還。越勤莫弗率其部萬餘家內屬,居五原之北。

是歲,禿髮鹿孤病死,弟傉檀統任,遣使朝貢。



※資治通鑑掲載分

10 月、東晋とうしん桓玄かんげんが実権を握ると司馬休之しばきゅうしらが北魏に亡命しようとしたが、最終的には南燕なんえんに脱出した。拓跋珪は司馬休之らが向かっていることに喜んだものだが、結果を聞き、不思議に思って兗州えんしゅうにいたひとりの従者を捕らえ、その理由を答えさせた。すると誰もが「魏の強さは誰もが知るところ。そのために司馬休之様も向かおうと思ったのですが、一方では崔逞さいてい殿の殺され方を聞き、北魏以外をお選びになったのです」と答えた。拓跋珪はここに至って崔逞らを殺したことを悔やむのだった。以降、漢人士大夫層の過ちがあっても、殺しはしなくなった。


(魏書2-40)




ほんに柴壁の戦い方おかしい……内側と外側の両面戦とか、危なっかしいにもほどがありますよ。こんなん拓跋の機動力によっぽど自信がなきゃなしえないでしょう。


なお柴壁の戦いについては


姚興18 北魏襲来

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894645693/episodes/1177354054921272555

姚興20 柴壁へー晋書載記

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894645693/episodes/1177354054921524237

姚興23 柴壁へ―十六国 

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894645693/episodes/1177354054921808672

姚興24 柴壁の戦い 上 

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894645693/episodes/1177354054921808743

姚興25 柴壁の戦い 下

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894645693/episodes/1177354054922034763


あたりが詳細になっています。

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