第2話キュプロス男爵令嬢の話

アンリ・キュプロス男爵は王宮で大蔵省の役人として働く男であった。


爵位は高くないものの仕事ぶりは確実で、人当たりもよく上司からの信頼も厚い。


そんな男爵には子供が3人いた。

長男のルイス

次男のジル

長女のマーガレット


兄弟仲はよく、次期当主として男爵領にて領地経営をしているアンリ。ルイスを補佐するべく学園で勉学、剣術と学んでいるジル。人脈づくりのための政略結婚を受け入れているマーガレット。


実際、アンリの領地経営は上手く行き、税収も上がっている。ルイスも学園での成績優秀。マーガレットも子爵家の次期当主との婚約が決まっていた。


そんな順風満帆なキュプロス男爵家だったが、一月ほど前にマーガレットが姿を消した。


その日マーガレットはジルの通う王立学園で行われる武道会の見学に訪れていた。

ジルはその大会で見事優勝し、キュプロス男爵家はジルの活躍に沸いた。


王都にある別邸でお祝いの食事会を開いたのだが、マーガレットがいつまでたってもやって来ない。


侍女が言うには折角王都に来たのだからと、武道会が終わったあとに街の方ヘと向かったという。


「ジルお兄様の優勝祝いにサプライズでプレゼントも買ってくるから一人でこっそり言ってくるから、うまく誤魔化しておいてちょうだい」


そう言われた侍女はマーガレットを一人にしてしまったことを後悔しながら語ったという。



「と、このような話があったのだよ。サン」

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幻想陰陽師 @sansyonoki

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