物語はガリス大陸を舞台に、戦乱の世に生きるアリアを中心に展開されます。アミーラ王国南部の孤児院で育ったアリアは、エンバニア帝国との戦争による不景気の影響で、軍に入る以外の選択肢がありませんでした。そこで彼女の人生は大きく変わり、物語が動き始めます。
ただ、この作品の弱点の一つとして、戦争がもたらす社会への影響や設定の描写がやや浅いと感じました。アリアが直面する困難について触れられてはいるものの、戦乱によって選択肢が限られ、生き抜くための苦悩があまり深く描かれていないように思えます。そのため、彼女が直面する試練が読者にとってそれほど強い印象を残さない部分もあり、もう少し掘り下げられれば、より没入感のある物語になったかもしれません。
とはいえ、アリアの個人的な成長に焦点を当てた点は、この作品の魅力の一つです。彼女が軍に入ってからの展開はどんどん面白くなり、彼女のキャラクターの成長が物語の中心となっています。アクションや意外な展開も多く、読者を楽しませてくれます。
政治的な駆け引きや戦争を背景にしたファンタジーが好きな方には、依然としてお勧めできる作品です!