銀の骨に宿るもの

『ロボットみたいに、完璧に設計された存在には魂が宿る隙はない。無い魂とは交信できないだろ』
自立歩行型アンドロイド技術が確立されて約1世紀。人口減少に転じたその国では、アンドロイドが人間人口を追い抜いて久しい。

機械と対話できる超能力者となるべく、遺伝子操作されて生まれた少女アイは、幼い頃の火事で左半身にケロイドを負ったまま、能力を開花させることもなく15歳を迎えていた。
彼女を育てたのは、旧式のナーサリーボット『スズラン』。
「ロボットを親みたいに思ってる」「本当に愛されたことがない」……陰口を浴びて生きてきたアイの前に、母親を名乗る女が現れる。
「私に母親なんていない。スズランがいれば、いいの」
当局の目とスズランの警護をかいくぐり、女はアイを攫い出す。
「あなたも、私があなたの子供じ…続きを読む