スピード感あるアクションと安定したストーリーテリングのバディ小説。

「電機寄生体」と呼ばれる新種の生命体を巡る戦いと、その奥に隠された人間と機械との交流を紐解くバディアクション。
 登場するのは、その電機寄生体が視える将之とそれを駆除する運動神経抜群な奏。このふたりと依頼人を加えた三人がストーリーの主軸になります。

 依頼人は機械が起こす様々な不調から彼らの事務所に訪れます。電機寄生体を取り巻く事情は、リアリティある設定とSF的とも取れる説明でとても説得力があります。さらに依頼人と機械の隠された物語を解き明かしていくストーリーテリングは暖かい人間への眼差しが感じられ、面白く読みました。読後感もいいですね。
 また文章は息もつかせぬスピード感を持った文体で進行し、読者の心を釘付けにします。ドライブ感のある、いい文章でした。また往年のヒーロー特撮や少年誌のマンガのような、かっこよさもあり、男性読者も女性読者も楽しめる内容となっています。

 ストーリーはまだ第二部ですが、彼らの行き着く先で、将之と奏、二人の物語がどのように明かされるのかがとても楽しみです。

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