あなたに逢いたくて
@kokokotti
第1話 天から舞い降りる
ある異世界の世界に8人の人間が降り立った。
天から舞い降りてきた人間を見て「神の使いだ」とボンノーラ王は言った。
神の使いとはボンノーラ王が手に持っている神書にかいてある。神書とはこの異世界の予言の書でそこには「時を経て8人の使いが舞いおりる。その者たちは剣を持ち戦い、守り、氷山のようなこの世界に光を放つであろう――。」と。
ボンノーラ王は待ちわびていたのだ。なぜなら今このサン王国は他国に目を付けられ戦争が続いているからだ。サン王国は8つの国で成り立っていて、それぞれの国に王が存在し、サン王国を守るため奮闘しているが状況は悪くなるばかりだ。
8人の人間がゆっくりと地に足を付けた時、ボンノーラ王は言った。
「よく来てくれました。あなたたちをずっと…ずっと待っていました。今日はお疲れのことでしょうからどうぞゆっくりしてください。」
近くにいた隊長を呼び寄せ部屋を用意するよう命じた。
8人は用意された部屋にそれぞれ入った。
8人の一人、山田涼平は部屋に入ると目に入ったベッドに腰かけた。表情は険しく眉間にシワを寄せている。何がどうなっているのか、ここはどこなのか、俺たちは…俺たちはどうなったんだ。
まったくわからないこの状況を飲み込めずお手上げ状態。両手を上にあげるとそのままベッドに倒れこんだ。他の7人も同様でそれぞれがこの状況を理解しようと必死だった。
最初に動いたのは7人の中の一人有田大輝だ。有田は隣の部屋の早乙女ひかるのドアをノックした。
「…はい」
少し震えた声で返事をした早乙女ひかるはゆっくりとドアを開け顔だけだして訪問者を確認した。
「よっ」
開いた部屋の隙間を覗くように有田は挨拶した。
2人は早乙女の部屋に入り話をすることにした。仕事をしていた自分たちがなぜ空を飛んでいたのか状況確認したかったが言葉にしても謎が深まるばかりでお互い沈黙が続いたとき「コンコン」とドアのノックする音が聞こえた。
早乙女が立ち上がりドアを開けて確認すると目の前にいたのは八田宏太、伊坂圭太、髙木ゆうただ。
この5人は仲が良く以前から何かあれば5人集まって相談しあう仲だった。
先に話をしていた早乙女と有田の話を元にもう一度確認しあう。
「まず俺たちはMVの撮影中だったよな?俺たち衣装のままだし…」
そう話したのは髙木。
お互いが周りを見渡し、煌びやかな衣装を再度確認した。
「あの人たち俺たちのこと神の使いって言ってなかった?」
早乙女が聞くと、八田が答える
「言ってた…俺たちの衣装のせいで勘違いしたのかな?」
「さらに空、舞っちゃってるしね!」
付け加えるように有田が言う。
「ってか…山田とか他のメンバーも呼んで話さない?」
とずっと考え込んでいた伊坂が口にすると全員頷き部屋を後にした。
今ここに居ないのは山田涼平、知白結城、中丸優斗の3人だ。
最後の一人がちょうど部屋から出た時、廊下の奥から
「いやいやお揃いで!」
と笑顔で話しかけてきたのは先ほど部屋まで案内してくれた隊長という人だ。
「先ほどは挨拶もせず申し訳ない。私王側近のマルン・バノシュです。マルンと呼んでください。」
そう言うとマルン隊長はお辞儀をした。
5人はよろしくお願いしますと頭を下げる。
頭を挙げたマルン隊長は人数を数えると
「3人足りないですね」と呟いた。
マルン隊長の一番近くにいた早乙女が
「あ、山田と知白と中丸が居ないですね。呼んできますか?」
と聞くと
「お願いします」とマルン隊長は頭を下げた。
一番近い山田の部屋から順番にドアをノックし
「出てこいー!」と叫ぶ早乙女。
それを見た有田は「すごいね!誰がどの部屋かわかるんだね?」
「あぁ。俺みんなが入るまで見てたから」
早乙女はたいしたことじゃない雰囲気をだすが、周りは驚きを隠せないようだ。
カチャ‥カチャ、カチャ
3回ドアを開ける音が聞こえ全員がおなじ方向を向いた。
廊下にたくさん人がいたので驚く3人。知白は口を開けこの訳の分からない状況についていけてない様子に見える。
3人が声を出す前に
「すみません。全員お揃いのようなので行きましょう」とマイル隊長が言う。
「え、どこにですか?」質問したのは山田。険しい表情で怒っているようだ。
「あ、すみません。王がお呼びなのです。私が皆様を王のいる広間までお連れします」
ペコリと頭を下げると廊下を歩きだした。
その後を追うように8人がついていく。
後ろのほうを歩いていた伊坂が小さい声で早乙女に話しかける。
「ねぇ、マルン隊長さっき3人足りない言ったよね??僕たちの人数よく覚えてたよね?」
「ん~部屋に案内してくれたし流石に覚えてるんじゃない?」早乙女が言うと、
「でもさ、この部屋の数もおかしくない?きっかり8人の部屋だし、お城?から離れているしこの長い廊下といい後から作った建物っぽいんだよね。わざわざ8個の部屋を作る離れ?」
伊坂は大学で建築学科を専攻していて、卒業した今も素敵な建築を発見すると喜んでいる。そんな伊坂はこの建物に違和感を感じたみたいだ。
「確かにね。」と早乙女は素っ気なく返事した。
それぞれがチラチラと窓から見える庭の景色を見ながら1キロはあるのではないかという長い廊下を進み、本館…いや城内に入り王が居るという広間に向かった。
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