病魔の英雄

　立花賢は生まれた時から目が不自由だった。そのせいか人類の組織であるバジリスクの居住区に住む者から嫌われていた。
　母も父も居らず、同居人の祖父は父の死後に部屋に引き籠り、兄は何かに憑りつかれたように呪詛を唱えていた。
　誰にも相手をされない孤独な日々を送る賢は、１６歳になり、バジリスクへの入隊が決定した。
　入隊直後、賢は散々な試験の結果を出した。その夜、兄がヒトガミに喰い殺された。
　理由がバジリスクという組織の慣習にあることを知ると、賢は兄を喰ったヒトガミを殺し、バジリスクの慣習を廃止することを決意する。

　これは盲目と母の不貞を理由に忌み嫌われた少年が復讐と自身の幸せのためにヒトガミと戦っていく物語。