茶羽様への御手紙
脳幹 まこと
日頃の感謝とお詫び
拝啓
今年の冬は例年に比べて厳しいという話でしたが、あなた様が日々繁栄をしておりますこと、しっかりと拝見させていただいております。私としましても、あなた様の尽きぬ精力を見倣い、日ごろの在宅勤務に活かしていく所存でございます。
さて、あなた様と私のご縁は決して短いものではなく、これも
ある日炊飯をしようと米を計量カップに移そうとしましたところ、あなた様のご子息様がいました。米袋の中にです。込み上げてくるものを
そうですね、つい先程のことです。
私は珍しく定時で作業を切り上げることが出来ました。あなた様の精力的な活動を見倣い、普段出来ないことをしようと思い立ちました。そうだ、存分に寝てみようと。私は明かりを消して、布団を敷いて、眠りにつきました。お陰様で、耳元でかさかさとご子息様の足音が聞こえましても「ああ、季節外れの鈴虫の羽音の如く、風流であるなあ」と認識出来るようになりました。
しばらく経ち、妙な感じで目が覚めました。最初に来たのは苦味でした。消灯していたのもあって、とにかく混乱しました。状況はさっぱり分かりませんが、手探りでティッシュ箱を探ってその中に唾を出しました。ひとしきり終えた後、明かりをつけました。茶色い染みがちり紙の上に広がっており、鳥肌の立つ思いでした。
これも
至らない点も多々あるかと存じますが、引き続き、私との共生、よろしくお願いいたします。
敬具
茶羽様への御手紙 脳幹 まこと @ReviveSoul
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