概要
僕を愛してくれた大切な祖母へ
祖母が亡くなったのを機に、僕は祖母の家に居を移した。叔母が出て行った、祖母の家。まだかすかなぬくもりの残るその家で、僕はただ、筆をとる。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!冷たい部屋の中をほっとあたためてくれるような、誰かの心に寄り添う作品
声が聞こえてくるようだった。
曖昧な表現で申し訳ないのだが、音としての声ではなく、内から響くように声が聞こえた気がしたのだ。
そうした感情を呼び起こす理由として、語りの上手さもあるが、それと共に、心の描き方がとても丁寧で、繊細で、優しい。そして、現状の説明と主人公の心の内が上手くリンクし、情景として浮かび上がるところにあると思う。
語りというのは文章表現という小説ジャンルおいてとても重要なもので、この作品にはその語りの美しさがあると感じた。
技術だけでなく、きちんと心に寄り添いながら書くという優しさが感じられる。ただ美しさを、人物の心の内を吐露することも文学の形ではあるが、こうした…続きを読む