第056話 エピローグ

「走って走って!!」

「急いで急いで」

「あと少しよ!!」


 夏美姉ちゃんと雫姉と緋色が僕を急かす。


「はぁ……はぁ……全く誰のせいだと思ってるの!?」


 僕たちは一生懸命に学校に向かって走っていた。


 なぜなら遅刻しそうになっているからだ。なんでそんなことになっているかと言えば、ギリギリまで致していたから。


 皆初めてだというのに底なしで、僕はいいようにされてしまった。最後の方は盛り返していたんだけど、時間がなくなった。


 でも、僕も僕で絶倫らしく、何度出しても衰えることもなく、ギリギリになってちょうどよく腫れが引いた。


 僕たちはそのまま全員で風呂に入り、急いで着替えて今に至る。


「間に合ったぁ!!」

「お疲れ様、拓也」

「拓也君、よく頑張ったわ」

「やった……」


 僕たちはなんとか校門が閉まる前に校内に辿り着いた。朝まで腰を振り続けた上に、色んな物を出して足腰がガタガタなのによく頑張ったと思う。


「おいおい、あれ見ろよ。五大美少女の内三人もあの冴えない男と一緒にいるぜ」

「ホントだ。一体どうなってんだ?どう見たって釣り合ってないだろ」

「それな。なんであんなやつなんかに美少女集まるんだよ。あり得ないだろ」


 僕達と同じくギリギリ近くに校内に入った同じ学校の生徒たちが僕たちを見て、ひそひそと陰口をたたく。


 どうせ自分は三人に釣り合っていない。


「たっくん、気にしないの!!」

「夏美の言う通り。あんなの気にしなくていい」

「そうよ。他の人の言ってることなんて無視よ無視。どうせモテない僻みなんだから」


 そんな風に思ってしまうけど、三人はそんな僕の考えが分かったかのように僕にくっついたり、撫でたりして慰めてくれた。


「それに、私達はたっくんが本当はすっごい男の子だって知ってるもの」

「ホント。私の問題も解決してくれた」

「私もあなたの物語に救われたわ」

「ほらね?そんなことができるのはたっくんだけなんだからね?」


 他の誰でもない僕だからこそできたことだと言ってくれる彼女達に心が温かくなる。


「ありがとう。もっと僕も皆にふさわしくなれるように頑張るね」

「ふふふっ。今のままで十分よ」

「そう。これ以上魅力的になったら私達が困る」

「そうよ、今のままでもあなたはとっても魅力的なんだから。無理しないでね」


 僕が嬉しくなって三人に笑いかけると、三人はにっこりと笑って答える。


 皆そう言ってくれるけど、僕なんてまだまだだ。


 皆を養ってもビクともしないくらいお金を稼いで、その上男としてももっと自分磨いていきたいと思う。


「あら?夏美じゃない?久しぶり」

「あぁ。咲久しぶりだね」


 僕たちが三人で話しながら校舎に向かって歩いていると、結構速足で隣を追い抜いていく女性が、僕らの方を見て、歩くスピードを緩めた。


 その女性は僕を囲む三人に負けず劣らずの美人だった。咲さんと言うらしい。夏美姉ちゃんの知り合いのようだ。


「なんだか楽しそうじゃない。どうしたの?」

「そりゃあ好きな人と一緒にいたら楽しいでしょ」


 楽しそうにしている夏美姉ちゃんを見て気になる様子の咲さん。夏美姉は隠すことなく素直に答えた。


「ああ、この子が例の弟君ね。初めまして。夏美とはクラスメイトでね。夏美はあなたの話ばかりしていたから興味あるのよ。私もあなたのおうちに遊びに行ってもいいかしら?」

「えっと……」


 どうやら夏美姉ちゃんは俺の事をよく話しているらしく、ウチに来たいと言い出した。僕としてはあまり信用できない人は呼びたくないので、困惑しながら夏美姉ちゃんのほうを向く。


「たっくん。咲なら大丈夫だよ。私が保証する」

「それなら大歓迎ですよ」


 夏美姉のお墨付きがあるなら問題ないので、僕は咲さんの要望に首を縦に振った。


「それは良かった「あぁあああああああああ!!ギリギリ間に合ったぁ!!」


 咲さんが僕の返事に嬉しそうに頷きながら答えている最中に、会話遮るように校庭内に大きな声が響き渡る。


「優香うるさい」

「あ、雫じゃん!!男嫌いの雫が男いるなんて珍しいじゃない」


 駆け足で近づいてきたその声の主に雫姉がムスッとした表情で声をかけると、優香さんと言う人は、今気づいたと言わんばかりにハッとした表情で返事をして、僕と居る雫姉をしげしげと眺めた。


 雫姉って男嫌いだったの?

 確かに僕以外の男と一緒にいるのはほとんど見たことがないけど。


「拓也は別。彼氏だし」

「えぇええええええ!?そうなの!?一体いつの間に!?雫の好きな人かぁ。興味あるなぁ」


 雫姉も夏美姉ちゃんと同様に全く隠すことなく伝える。


 優香さんは面白い程に反応し、彼女も僕に近寄ってきて、ニヤニヤしながら色んな角度から僕を品定めするように見つめた。


「拓也の家に来たらいい。きっと気に入る」


 そんな様子に見かねたの雫姉が家に誘う。


「いいの!?」

「いや、僕は雫が良いなら全然いいよ」

「やったぁ!!」


 優香さんと同様に雫姉が誘うなんてびっくりしたけど、雫姉が認めた人なら問題ないと思う。


「五大美少女が全員集まったぞ……一体どうなってんだ?」

「俺にも分からん」


 周りで男達が呆然としているけど、もう何も言われても気にしない。


―キーンコーンカーンコーン……


「あっ。ホームルームが始まっちゃう。急ごうよ!!」

「そうね」


 優香さんがチャイムを聞いてギリギリだったのを思い出し、皆を急かすように走り出す。夏美姉ちゃんが頷いて僕たちは校舎に向かって走り出した。


 僕の爛れた生活は今日からさらに加速していくことをこの時の僕は知らない。





 完





◼️◼️◼️◼️◼️


 こんばんは。ミポリオンです。


 最後までお読みいただきましてありがとうございました。


 これにて閉幕となります。


 この物語は当時ツイッターでバズっていたネタを元に、その日のうちに即興で考えたものです。


 先の展開を一切考えずにノリで始めましたが、なんとか完結まで漕ぎつけました。


 これも偏に読んでくださった皆様のおかげでです。


 今回人生で初めてラブコメを書いてみて、自分の至らなさを痛感したので、暫くラブコメは封印です(笑)


 暫くは今まで全く読んでこなかったラブコメ作品を読んでインプットに努めたいと思います。


 そのうち再びラブコメを連載することもあるかと思いますので、ラブコメを求めて来ている方はまたその時にお会いしましょう。


 それ以外の方はファンタジー作品を引き続きよろしくお願いします!!

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女神達の溜まり場~年収8000万超えのラノベ作家であることを隠していた僕が一人暮らしを始めたら、美少女達を養うことになりました~ ミポリオン @miporion

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