第055話 初めての四人

「うっ」


 僕は言いようのない放出感に思わず体をのけ反らせてしまう。何事かと思い、目を開けるとようやく慣れてきた僕の寝室の天井が出迎えてくれた。


 部屋は暗いのでまだ夜のはずだ。しかしなんだかスースーする。


 僕は顔を少し起こして下を見下ろすと、三人が一か所に集まって何かをしていた。


「何してるの?」


 僕は朦朧とする意識の中、三人に問いかける。


「え、えっと……」

「それはその……」

「いやなにをと言われると……」


 三人からのいまいち要領を得ない。


 しかし、その間に僕の意識は段々覚醒していき、自分の状況を理解する。


 なぜか丸出しになっていた。道理でスース―するはずだ。それに、服装が乱れた三人と周りに飛び散る白い液体。それに徐々に感じる部屋に充満する特有の匂い。


 そして最近の、悶々としていたはずなのに、寝て起きるとなぜかスッキリしているという不思議な現象。


 それが今全てつながった。


「はぁ……そういうことか……」


 僕は三人がしていることを理解した。


「怒らないからなんでこんなことをしたのか教えてよ」


 僕は体を起こして三人に尋ねる。


「だってそれ、パンパンになってると辛いって漫画で見たから。出したら楽になるかと思って」

「膿を出しきらないと病気になるかもしれないと思って」

「そうね。出さないと治まらないって聞いたことあるし。出したら治まるかと思ったの」


 三人とも僕にした理由を述べる。


 確かにムズムズして辛いけど、それは彼女たちがやる必要はない。


「はぁ……僕がちゃんと処理してないのが悪かったね……」


 ただ、これはなんとか隙を見て処理をしなかった自分のせいだ。


「たっくんは悪くないよ、私たちが勝手にしたことだもの」

「そうそう」

「そうね。ごめんね」


 僕が謝ったら皆がしゅんとして皆も申し訳なさそうにする。


「いやいや、僕が悪いから」

『いやいや、私達が悪い』

「いやいや」

『いやいや』

『ぷっ』


 お互いに謝り合って不毛な謝り合いになった後、僕たちはいつしか噴き出した。


『あははははははっ』


 そしてお互いに顔を見合わせて笑いあう。


「はぁ……そしたらお互いが悪いってことで。もうこんなこと勝手にしないでよね?」

「分かった」

「うん」

「分かったわ」


 暫く笑いあった後、僕が三人に注意したら、皆快く頷いてくれた。


 そしてそこまでしてようやく僕は気づく。


 僕だけでなく、皆も色々丸出しであることに。そして白濁液に濡れてとんでもな色っぽいことに。


「そ、それじゃあ、皆は体洗ってきなよ。僕は部屋を片しておくから」


 僕は思わず顔を反らして三人にお風呂に行ってくるように促す。


「それもそうなんだけどぉ……たっくん。またパンパンになってるよ?」

「あっ……」


 しかし、一度は真面目な話をしてしんなりしていたのに、落ち着いたことで三人の艶めかしい姿が目に入り、僕の体の一部が反応してしまった。


 丸出しになっているのを忘れていた。隠しようがない。


「い、いや、大丈夫!!皆お風呂に入ってる間に処理しておくから!!」


 僕は流石にこれ以上してもらうのは色々マズいので慌てて両手を振ってアピールする。


「ねぇ、たっくん。私達って恋人だよね?」

「え?あ、そうだけど?」


 僕の言葉を聞いた夏美姉ちゃんが、突然僕と自分の関係を確認してきた。一瞬答えられなかったけど、僕は頷いてそれがどうかしたのかと問い返す。


「だったら、別に我慢しなくていいんだよ?」

「え、それって……どういう……」


 夏美姉ちゃんの言葉の意味が分からなくて僕は言葉が上手く出てこない。


「私たちはたっくんの彼女。皆もう覚悟してるって事。というか皆たっくんとエッチなことしたいと思ってるんだよ。ね?」

「うん、興味ある。拓也、しよ?」

「そ、そうね、初めてだから優しくして欲しいけど、拓也君ならいいのよ?」


 困惑する僕に追い打ちをかけるように三人が僕を理性を揺さぶってくる。


 流石に付き合って数日というのは早すぎる。

 避妊の用意もない。

 将来の事も何も考えられていない。

 結婚もしてないのにそんなことするなんて。


「で、でも……」


 そんな考えが思い浮かんで僕は躊躇する。


「ふふふ、全くしょうがないんだから」

「おわっぷ!?」


 僕が優柔不断なのを見越したのか、夏美姉ちゃんが僕を引き倒して僕を上から押さえつけた。


「ちゅ」


 そして有無を言わさずに僕の唇を奪った。


 僕のファーストキスだった。


「ちゅっちゅっちゅちゅぱ」


 しかし、僕のファーストキスはあっさりとしたもので終わらずに、夏美姉ちゃんの舌が僕の口内入り込む。


 僕の口は夏美姉ちゃんに蹂躙されてしまった。途中から僕も無意識に合わせるように舌を絡め合った。


「ちゅ」


 暫くキスをしていた夏美姉ちゃんがおもむろに口を離す。脳も溶かすような感覚が終わり、名残惜しさが僕を襲った、


「ふふふっ。もっとしたいって顔しているよ、たっくん?」

「いや、だってそれは……」


 僕の表情を見て僕の内心を読むようなことを言う夏美姉ちゃんに、僕はしどろもどになってしまう。


「ねぇたっくん、私たちとセックスしよ?」

「……本当に僕でいいの?」


 確信的なことを僕に告げる夏美姉ちゃん。


 未だにこんなに可愛い女の子達が僕なんかの彼女でいいのかと思っていた僕は、しばしの沈黙の後、問い返す。


「いいよ」

「二人も?」


 夏美姉ちゃんは即答し、僕は雫姉と緋色にも確認する。


「うん、拓也がいい」

「私も拓也君がいいわ」


 二人とも僕がいいらしい。


「そっか、分かった。僕も初めてだからお手柔らかにね」


 三人の熱意に負けた……いや、三人の魅力に我慢できなかった僕は本能に従うことにした。

 

 そして僕たちは四人で交じり合った。


 気づけば朝になっていた。 

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