第054話 意味深すぎる会話③(雫視点)

「緋色今日もやるよ?」

「わかってる。出さないと辛いんだものね」

「ん……」


 私は誰かの声が聞こえてきて意識が浮上する。目を薄っすらと開けると、夏美と緋色が視界に入る。


「夏美?」


 私は眠気眼を擦りながら上体を起こす。


「あ、雫。いい時に起きたわ」

「あ、雫姉様……」


 よく見ると二人はとても艶めかしく露出の多い衣服を身に纏い、体の一部をさらけ出している。


「緋色……私も夏美と一緒で良い」


 夏美に対してため口なのに私に敬称や敬語を使うのはおかしい。


「わ、わかったわ……」


 緋色は言いにくそうにしていたけど、それは慣れてもらう他ない。


「ああ、そういうこと」


 私は二人がベッドの下の方で何をしているのかと思えば、二人の間に聳え立つ立派な御神体を見れば一目瞭然だった。


 以前夏美と私がしたことを、夏美と緋色でやっていたんだ。


「私もやる」

「うふふ。雫ならそういうと思ってたわ」

「し、雫もやったことがあるのね?」


 私が準備を始めると、夏美は待ってましたと言わんばかりの笑顔で受け入れる。しかし、緋色は私が動じることなく準備を始めたことに疑問を持ったらしい。


「うん」

「なんだか私の方が先に彼女になってるなんて悪いわね」

「気にしなくていい。私たちは拓也の前に平等」

「そうそう。私達に上下関係なんてなしだよ。後とか先とか関係ないわ」


 私は緋色の疑問を肯定するために首を縦に振る。


 私の返事で緋色は申し訳ない気持ちになっているみたいだけど、そんな風に思う必要はない。


 もちろん少しだけ、ほんの少しだけ緋色が拓也の彼女になっていたことは悔しいし、腹立たしいとは思うけど、拓也は結局私も受け入れてくれた。


 それに私も緋色も夏美があんな性格だからこそ、一緒に受け入れてもらえた訳で、私と緋色は夏美の厚意に甘えている状態だ。


 私と緋色はさながら側室みたいなもの。いわば同士だ。だから申し訳ないなんて思わなくていい。


 勿論夏美に思うところがある訳じゃない。拓也は私たちに仲良くして欲しいと思っているだろうし、私も夏美と緋色とならそんなに嫉妬せずに一緒にやっていけると思う。


「そ、そう。それならいいんだけど」

「さぁさぁ。それよりもたっくん辛そうだから、さっさと出してあげましょ」

「そうね」

「わかった」


 緋色が納得した所で、夏美が話を切り替えて御神体を指さす。ご神体はビクッビクッと痙攣し、パンパンに腫れあがっていた。


 あれはとても痛そうだ。すぐにでも膿は出してあげた方が良いと思う。


「それじゃあ、私からやるね」


 そういって夏美が先んじて動いて挟んで上下に動かす。


「はぁ……はぁ……あ、もっと膨らんできた……はぁ……もうそろそろね」

「うっ」


 暫くすると夏美が艶めかしい吐息を吐きながら変化を感じ取り、そのすぐ後に膿が放出された。よっぽど良くない膿が溜まっていたらしく、まるで噴水のように噴き出して、辺りに降り注ぐ。


 私の腕にも飛んできた。ねっとりとして少し暖かい。


「次は私」

「勿論よ」


 私もしっかりと出してあげたいと思い、夏美と場所を代わる。本来なら彼女になった順かもしれないけど、緋色は当然とばかりに私に順番を譲った。


 とても出来る後輩だ。


「ん、ん」


 私も一刻も早く膿が出るように一生懸命に体を動かし、時折口づけする。その度に少しずつ膨張し、痙攣する。


「あ、そろそろかも」


 最初よりも明らかに膨張して破裂寸前の風船のようになったので、夏美と同じようにそろそろ膿がでることが分かった。


「うっ」


 それから数十秒後、うめき声の後に再び膿が放出された。二度目なのに先程と変わらない量が出ているように見える。それに御神体は腫れ上がったままだ。


 一体どれだけの膿を溜め込んでいるのやら。


「こんな溜め込んで大丈夫かしら?」

「そうね。ちょっと心配よね」


 二人も膿の勢いが変わらないことと、膿が出し切れていない様子を見て心配している。


「兎に角、治まるまで出そ」

「それもそうだね」

「今は治めるのが先ね」


 私は二人を促して兎に角膿を出させる。


 それから五回程膿を吐き出させたんだけど、未だにパンパンに腫れあがったままだ。


「日に日に溜まっている量が増えてない?」

「確かに……このまま爆発するとかないよね?」

「流石にそれはないとは思うけど、何かの病気かしら」


 最初は二回で治まっていたのに、しばらく見ないうちに七回膿を吐き出しても治まらないなんて一体どうなっているんだろう。


「兎に角、どんどん出させよ」

「そうだね」

「分かったわ」

 

 私たちはそれからも何度も膿を吐き出させた。


 辺りは吐き出された膿でベトベトになり、私達も膿まみれになっていて、部屋中に生臭い匂いが充満している。


 それでも尚屹立している。


「次」


 再び私の番になり、挟んで体を上下させ始めようとした時、まさかの事態が起こった。


「何してるの?」


 その声は私たちの前から発せられていた。


 決して聞こえるはずのない声。


 いつもなら朝まで起きるはずない拓也が体を起こし、私たちを見下ろしていた。

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