物語を読んでいると、その世界に入ってしまうことがあります。まるで、映画を観ているように。本編がSFだという設定を忘れ、今のサラエヴォに現実に起きていることのように。著者はいつこの時代を生きてきたのかと、錯覚するほどの描写。日常の会話には、作中のあふれる語彙はほとんどないなと、読後に気づきますが、著者の会話の応酬とリズムにとても魅了があります。作中のラストに「祈り」があり、著者からのさっと差し出された問いに思えました。次作もぜひ楽しみにしています。
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