8.究極メカ『超合金メカゴーレム・キングドラクニオン』

やあ皆んな今日も元気に異世界ライフ鑑賞してるかな!! 

今日は画面の前のお友達と一緒に四人の変な奴らの観察をしよう!!僕の名前は異世界博士だよ!!

ほらご覧、洞穴の中でアホみたいに口を開けて身を寄せ合いながら震えているよ。

さあみんなで観察だ〜!!

本文編集

「僕もう疲れたよ・・・温かい・・・」

「そうだマッチをすりましょう」

「見えるわ!!天界の創造神様が微笑んでいらっしゃる。パイにシチューもあるわ!!」


「妾もしかしてツッコミ要員に配属されてしまったのか・・・えぇい仕方のない!!」


ー『ライトニング』ー


「「「あばばばばばばばばばば」」」


 洞窟に響き渡る三人の震える悲鳴はなんとも言えない間抜けさを醸し出していた。

ハバキ御一行は前回巨大なイッヌに食べられた後の数時間後に雪原の上に捨てられるもののたどり着いたのはただの洞穴の前、水もない食料もないというか寒い。あと犬臭いという絶望的な状況だった。


「「「「さぶぅ〜い」」」」


「おいおいこの状況やばいんじゃないか。」

「ハバキなんとかしなさいよ」

「おいお前らそんなことより酒持ってないか〜妾は酒が飲みたい・・・」

「「「ならなんとかしろよ穀潰し賢者!!」」」


 そんなことを言い合いながらネトネトした体寄せ合ってどうにか暖を取ろうとする。


「なんじゃぁ!?お主ら!!くっさッ!!」


 洞窟の奥の方から背の低いおっさんが現れた。


「「「「ひゃっほぉぉい第一村人発見!!」」」」

「抱きつくな!!臭いっオエぇ〜」


 四人の臭い旅人たちを迎えてくれたのは「ドワーフ」達、洞窟の奥にある扉の下の階段を降りるとドワーフ達の村が広がっていた。案外天井が広い空間の至る所には穴が空いている、おそらく通気口であろう。至る所に煙が立ち上り、金槌を叩く音が響きわたる。

 四人は着いて早々に近くの宿屋に連れて行かれて匂いを落とすまで何度も体を洗わされた。


「やっと解放された・・・俺らどれだけ臭かったんだ?」

「牛乳を浸して絞った雑巾で駄女神を拭き回したような匂いじゃないのか。」

「今あんた!!私が臭いみたいなこと言ったでしょ!!ねぇ!!取り消しなさいよ!!」

「女神様、駄女神ってところは認めちゃうんだ〜。」


 いつも通り酒場のテーブルで騒ぐ四人。だがいつもと違うのは周りの視線だった。


「おいあの男・・・まさか」 「人相描きあったよな」 「いや・・・あんな幼い見た目か?」


 ヒソヒソと話し合うドワーフ達、その視線に四人は気づかない。そこへ洞窟の入り口で出会ったドワーフが話しかけてきた。


「おう!!お客人方。匂いは落ちたみたいだな。」


「はい。すっかり落ちたみたいです。」


「ところでよぉ。そこに座っている兄ちゃんはまさか『ハバキ』じゃねえか?」


「ああ。俺はハバキというがそれがどうした?」


 空気が一変する。先程までの和やかな空気が張り詰めたものへと変わる。


「ようやくこの国にきたみてぇだな。この日を待ち侘びたぜ・・・なあ野郎ども!!」

「「「「「「「おぉォォォォォォォ」」」」」」」」


「俺はお前さんに『鍛治決闘デュエル』を申し込む!!」


 「「「「鍛治決闘?」」」」


 ドワーフ村 族長宅前広場


「この広場はなぁ!!鍛治決闘用に設備が二つ中央に備え付けてある。道具は自分の物を使うがそれ以外のものはここにあるものを使ってくれ。材料もここにたんまり用意した!!石ころからドラゴンの鱗までなんでもある!!

勝者は願いを一つ何でも聞くことダァ!!

 そしてぇぇぇ我らドワーフの願いは『伝説の鍛治師』という称号を返還することだぁ!!」


「「「「「「「いえぇぇぇぇぇ」」」」」」」


 広場を囲んでドワーフ達が盛り上がる。


「ハバキ・・・お前昔なんかしたのか?親の仇とか?」


「それは違うゼェ!!ミネオォ!!こいつは鍛治師同志の宿命さぁ!!目と目があったら鍛治バトル!!

あっ、それがぁぁぁ、鍛治師ぃのぉおぉぉ〜お約束ってやつでさぁぁぁ!!」


(なんか見切ってる。というか聞いたことねぇしそんな約束。)

(というかキャラ変わってない?女神としては引くんですけど。)

(アルコ〜ル)

 族長邸の前の豪華な椅子に座っているドワーフの族長が声を上げる。

「〜ぁィぇ」


「ねぇあのおじいちゃんなんて言ってるの?てか生きてるの?ほぼ皮よ。」


 ドワーフの一人が耳を近づけて翻訳する。

「「イェぇぇ!!遂に今日という日がやってきたゾォ!!テメェら気合い入れていけ〜〜!!

第一回戦 『剣』を作れぇぇ!!それでは始めぇぇ!!」っとおっしゃっております。」


「始めぇぇ!!」「いや別の人喋ってやれよ!!おじいちゃん頑張ったのに意味ないやん!!」


 ドワーフがすごい勢いで材料を漁っていく。しかしハバキは動かない。

「俺はこれを使うぜ!!かの伝説のアダマンタイトだ。加工するのにも一級の腕が必要だ。あんたはどうする?」


「俺はこれでいい。」


 ハバキの手元にはなんの変哲もない石が握られている。


「はぁ!!テメェ舐めて上がるのか!!まぁいい勝手にやってろっー!?」


「オオッと!! ハバキ選手、炉に石を入れずにそのまま鍛治台において叩き出したッ!!

ここからは解説を私ミネオが務めさせてもらいます!!あぁ!!そう言っている間にスピードが加速していく!!」


キュコォォォォォォォォ


「なんということだぁ!!もはや謎の快音が響いている!!なんか光っているぞ!!なんなんだあれは!!」


カンッー

ハバキの鍛治台の上には透き通るような透明感を放つ一本の剣が置いてあった・・・

「なんてことでしょう!!高速かつ高圧力すぎて石をダダダッダイアモンドに変えたとでもいうのかぁぁ!!」

「なんですってぇぇぇ!!」「あ兄ちゃん酒くれない?」


「ふっ・・・たかがダイアモンドにしただけだ。べっ別に〜おっ俺はアダマンタイトだし。」

「これは魔力を込めながら圧力を加えたからアダマンタイトに変化した。」


「ドワーフのおっさんが燃え尽きたァァァァ!!膝から崩れ落ちて動かない〜!!リタイアです!!」


 タンカーで運ばれるおっさんの脇を通り過ぎて一人のドワーフが歩み出てくる。


「ふん未熟者がこんな曲芸で腰を抜かすとは情けないのう。ワシが作る刀に勝てるかな?」


「実況席に説明が入って参りました。

あの男は!!転生者や転移者が持っている剣を自分の作った刀でいとも容易く切り裂いたぁドワーフの英傑!!

『マサムラ』だァァァァ」


「OK〜。それじゃあ次は刀だな。じゃあこの武器いらないね。」

バキンッ

「おいおまっ!!ハバキ!!それお前がちゃんと作ったすごい武器!!壊すな!!あとアダマンタイト壊すな!!」


「ふふふ いくら材料を希少なものにしようとも、質と技こそが最高の威力を生むのだよ。

わしはこの数々の武具を食らってきた『異物喰らい』にさせてもらおう。」


 マサムラが取り出したのはすらりと輝いた日本刀だった。ほのかに青く輝く刀は美しく見るものを魅了させる。


「じゃあ俺はこれでー」


「お前はなんちゅうもん作っとるんじゃぁ!!鍛治台からはみ出とる!!重い!!デカい!!分厚い!!

圧倒的なルール違反!!」


「いやちゃんと刀だし厚さは人一人分で長さは人三人分くらいの」

「人人見にくいんじゃ。え〜とマサムラさ〜ん戻ってきて〜。やってみないとわかんないですよ〜。」

「はぁっ!?危ない危ない魂が抜けておった。そんな見てくれだけの物ワシの武器には敵わん!!ソイッ!!」


キンッー


「歯が全くたっていません!!」

「ほいじゃあ俺の番ね。」


ズドォォっォォッォォ

「おぉっと!!巨大な刀身をぶん回すと『異物喰らい』どころか族長の家の屋根をスパッと切る。

厚い刀身なのにすごい切れ味。」


バキン

 ハバキはまた自分の作ったものをたたき折る。 

「ほい次の挑戦者は?」

「〜ぁ・・・ぁぃがやると言っておるんじゃぁァァつ!!ほぉぅ!!」

椅子から勢いよく飛び上がる族長は筋肉隆々、パッとみて気持ち悪くなるくらいの筋肉である。


「次はお題無制限じゃあ!!何を作っても構わん!!行くぞぉぉ!!」

「おぉっと族長が覚醒した!!凄まじい速さで何かを作り上げていく!!見えない見えないぞ!!

なんだあれは巨大な竜だ!!メカダァ!!」


「完成じゃぁこれぞ究極メカ『超合金メカゴーレム・キングドラクニオン』じゃぁ!!」

「「「「「「「「お母さんあれ買ってぇぇぇぇぇ」」」」」」」」


「どうした?凄すぎて声がでんか?ほれ潔く負けを認めるがよい・・・さあ!!」


コクピットに乗り込んでハバキの目の前にドラゴンの顔を近づける。


「飽きた。」

「「「「「え」」」」」


「メイドさ〜んちょっとお願いします。」


 ハバキはふて寝をするとその横から黒いホールが出てくる。

「製作者ハバキ様、お呼びでしょうか?」

「そのドラゴンに自己紹介してあげて。」


 メイドは一礼するとにこりと笑って挨拶をする。


「私はハバキ様に作られたアンドロイド『対女神のお告げ妨害装置【ドリームメイド】』魔王様から【メイドさん】

という素晴らしいお名前をいただいたメイドでございます。」


「「「「「「「「「「「「はぅぅウゥッゥゥ」」」」」」」」」」」」」

ドワーフが奇声を上げて胸を抑える


「ふォォォォッォォォォッォォォォッォォォォッォォォォー」

コクピットの中でなぜか爆風に吹き上げられたようになる族長

「まだじゃぁ!!見た目のセンスは負けてもっ!!戦闘力ならまだこちらが上なはずッ!!」

「おぉぉっと!!メカドラゴンが口で何かチャージしている!!なんとかカノンとかなんとかビームだ!!」


「撃てぇぇぇー」


 放たれた光線の大きさは周囲の建物よりも大きくこの地一帯を更地に変えるであろうことをその場にいた者は悟った。子供は泣き、家族たちは泣きながら別れを言い合う。

 そんなことになる前に放たれた光線は謎の黒いホールに吸い込まれていく。ホールの向こうからは断末魔が聞こえる。


「躾がなっていませんねこのトカゲは。」


 メイドの姿が掻き消えるとドラゴンの股下辺りに拳をためるメイドの姿が


「この位置が一番ちょうどいい角度ですわね。」


 ーゥゥスッッッッ・・・・ズバァァァァァァァァァァァ


「おぉぉっぉと 超合金が粉々に砕け散っていくウゥッゥゥ!!拳が早すぎて音が遅れて聞こえたぞぉぉぉ!!

天井にはああああ穴が空いている!!」


「「「「「「「「族長ぉォォォォォォ」」」」」」」」


 そんなやりとりをよそにメイドはハバキと女神とカラティナに話しかけてくる。


「ハバキ御一行様、ちょうど皆さまの元へ向おうと思っていたところでございました。

魔王ネノラ様から先代の魔王についてわかったことがあったのでお連れするようにとのことです。」


「ネノラが!!やった〜!!ネノラに久しぶりに会える!!」

「生きていることを感謝なさい駄女神クラノーチカ、いえ豚でしたか。」


 そんなやりとりをしながら四人は黒いホールの中に消えていった。


「博士ッ・・・死なないでくれぇ俺はこの先どうすればいいんだよ。」

「「「「族長」」」」

「良いか・・・皆のものワシらの鍛治の夢を、伝説の称号を諦めてはならん・・・ぞ・・・」

「「「「「「「「「「「「族長ォォォォォォ」」」」」」」」」」」


「ミネオ様さっさとお入りくださいませ。捻り潰しますわよ。」

「あっ・・・・は〜い。」


 こうして鍛治バトルは幕引きとなった。ちなみに族長は普通に生きています。

後書き編集

次回 やあみんな異世界博士だよ!! 僕はもう出てこられなくなっちゃったんだ。

   天界から見てただけなのにいきなり変な光線で吹き飛ばされたんだ〜!!

   おかげで今はベットの上さハハハハハ

   次回は魔王城に行くんでしょもう体が痛いよ〜              

                          次回 先代魔王の手がかり

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「お客様こちらの武器はいかがでしょうか??」 〜サラリーマンから異世界で伝説の『鍛治師』専属のセールスマンに転職してヒドイ目にあう珍道中〜 佐渡の鹿 @SADOnoSIKA_361

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