第6話 蛇神にみずからを捧げる変な人々

 それで、この国の運営はうまくいっていたようです。わたしはよく知りません。ただ、わたしは五十鈴川で小動物を捕まえて食べていただけなので。わたしはこの国では太陽だということになっているけど、わたしはただの水蛇ですから。

 だけど、子供たちはすごく偉くなってしまいました。ただの水蛇なのに大王として君臨して子孫をつないでいくし、どんどん人の子を産んでいるようでした。

 わたしは子供たちがそれでいいならそれでいいのですが、この国の人間たちはいったいどう思っているのでしょうか。

 わたしはこの国では太陽ということになっています。ですが、ただの水蛇です。この国にいつの間にか秘密の儀式が作られてしまいました。蛇神に生贄としてみずからを捧げる女たちの儀式です。

 わたしは水蛇です。この国で蛇を名のって生贄の女を娶っているのはわたしの子供たちです。わたしの子供の子孫が大王家として蛇神の正体を現し、人間の女を娶っています。それでいいというのなら、わたしは何もいうことはありません。ですが、知っておいてください。日本で蛇神に捧げられる生贄は、大王家のものが自分の正体が蛇であることを明かし女を娶っているのだということを。

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