第3話
ヒヨコは青年の手から飛び降りて、少年の肩に止まり、すりっとほほに体をすり寄せる。
「ありがとね」
もふっとした
「君に出会った時から、
「ひよこさん! やだよ! 一緒にいてよ!」
ぽろぽろと泣きながら、手を伸ばしてヒヨコを
「やだよー! やだよおおお! 一緒って、友達だって言ったじゃないかぁぁぁ! うぇぇぇん」
ヒヨコは「うーん」とうなりながら少年を見下ろして、ピンと閃く。
「じゃぁさ! こうしよう!
「え!?」
「食べる? どうやって食べるの? 焼くの?」
「煮ても焼いても、今なら生も美味しいよ」
「生……?」
ヒヨコを丸かじりするシーンが浮かんで、少年が引きつった。
「生は……」
「なんでもいいよ。
ひよこは丸い目を細くして、
そのままスッと、姿が消える。
「ひよこさん! …………どこいったの?」
少年は青年の周りをぐるぐる歩いて、
「おにいさん、ひよこさんどこへ行ったの?」
探してもいないので少年は青年に
すると、青年は
「まぎれし者。道に戻るがいい」
きょとんとして、
見慣れた
「え? あれ……?」
まるで
「ひ、ひよこさん!? それにおにいさんは!?」
少年は辺りを見回して探すが、
自宅の
「お帰り。お使いありがとう」
「うん、ただいまお母さん!」
「もしかしてちょっと泣いちゃった? 分からなかったことあった?」
「ううん。泣いてないよ!」
少年は
「
「ほんとだすごい! どれどれ?」
エコバックの中身を
「
「えーー!? 見せてーー!?」
少年は
「ほんとだ……」
しょんぼりした少年に、
「
「そんなぁ……」
「ほら。
「はぁい」
少年はエコバックを返し、
「これ
「ゆうせいらんって?」
テレビのスイッチを入れた少年がすぐに聞き返す。
「この
「ひよこ……」
少年はハッとした。
「ひよこさん! これ、ヒヨコさんだったんだ!」
「うん。ひよこさんになるね」
「おかあさん! ぼく、この
すぐに割れた
「お腹がすいたの? いいわよ。ちょっと待っててね」
「出来たわよ」
少年はていねいに手を合わせた。
「ヒヨコさん。頂きます」
少年は
裏路地の道 森羅秋 @akitokei
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