第2話
少年は
力強く歩く少年の
「はぁ。なんで
「ひよこさん。どうして
「どうしてって……それは」
「そうだ! 友達になろうよ!」
「
「じゃぁ、
「友達」
「やったー!」
少年は喜んで両手を上にあげたので、ヒヨコは落とされまいと
ヒヨコから怒られるまで、少年は
「はぁ、はぁ、振り落とされるかと思った」
ヒヨコは
なで終わると、気持ちよさそうに目を細めていたヒヨコがゆっくり目をあける。
「で? 君はどうやって帰るのさ、ここから」
「だからこの道を」
出たところで少年は歩みを止めて固まる。
「……え? どこ? ここ」
出たのは大通りではなく、山の
夕日が落ちて間がないのか、明るいがどこか暗い
近くで水の音が聞こえ、少年の背をおおい
「えー? なにここ……」
「痛い! 夢じゃない?」
ヒヨコがため息をついた。
「あーあ。
「あ! あそこに人がいる!」
三メートルほど先にある
「聞いてみよう!」
「え!? まって!?」
「あのーー! おにいさーーん!」
ヒヨコの声を
「まってーー! 止まってーー!」
「こんにちは! あの、ここはどこですか?」
ヒヨコの
青年は少し間を空ける。
「ここはどこですか? ぼく迷子になっちゃったんです」
青年は
「逝けるモノが通る
「いけるもの?」
「不運な小僧。生きながら逝く
「いきながらいく?」
理解できない少年の腕を青年が掴もうとして、その前にヒヨコがぴょんと飛び跳ねて青年の手に止まった。
「違う違う! 逝くのはこの子じゃない、僕だ!」
「ひよこさん?」
ずり落ちないように
「全くもう。面白くない冗談だよ。ほらほら、みたらすぐ解るでしょ? 僕を迎えにきたんでしょ! 生まれてきたけどもう死んでしまったから」
ヒヨコの言葉にコクリと頷く青年は、少年に視線を動かすと物言いたそうにジッと見つめる。
「あーっと、この子は……」
ヒヨコはチラッと少年を見下ろした。
「
「ひよこさん死んでるの!? そんなに元気なのに!?」
少年はヒヨコを触ろうと、ぴょんぴょん飛び跳ねる。ぽこぽこ青年の腹に頭突きが当たるが、彼は気にしておらず、またそれによってよろけることもしなかった。
ただ、ひよこだけが、
「
「そ、そんな」
少年が泣きそうに顔を
「私が回収するのは一つだけ」
ハッとして、少年は青年の腰の服を引っ張る。ぐいぐい引っ張られているが、青年は動かない。その代り、
「ダメだよ。ひよこさんは僕と一緒にいるの! せっかく友達になったのに死んじゃったら駄目だよ! 病院に行こう! ええと、心臓マッサージとか、えーと、あとなんだっけ! 注射だ! 痛いけど注射すれば治るんだよ! 僕はがまんできるもん、ひよこさんもがまんしたら絶対良くなる!」
希望に目を輝かせて見上げる少年に、ヒヨコと青年は「ふふ」と和やかに笑った。
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