デスストランディング2発表記念。賛否両論デスストランディングの魅力を語る



メタルギアソリッドの生みの親、小島秀夫監督の新作デスストランディング、というゲームをご存じでしょうか。通常のゲームでは意味をなさない、移動をゲームに昇華したゲームで、その独創的なストーリーも相まって、ゲーム好き達からは高く評価されました。


ですが、世間のデスストランディングに対する評価は、賛否両論です。


究極の神ゲーという人もいれば、死ぬほどつまらない、というプレイヤーの声も散見されました。


私は小島監督のゲームはメタルギアシリーズのナンバリングも、PSPのピースウォーカー等の派生作品もやり込んでいるほどの大ファンなので、一体どんな内容なのか、確認するために、遊んでみました。


プレイしたときの序盤の第一印象は、はっきり言って、イマイチでした。


とにかく冒頭から謎が多すぎます。


突然起こる未知の現象、デスストランディングの謎

BBという赤ん坊のような謎の存在

サムの脳内を通して現れる、BBの記憶に存在する謎の男

プレイヤーを襲うBTの恐怖

カイラル通信

アメリカを一つに繋ぐ

アメリカ再建


もうとにかく様々な用語が冒頭から沢山入ってくるので、最初は少し頭の中で話を整理するのに一苦労でした。ちょっと登場人物の多い海外ドラマとか映画とか小説を読み慣れてない人には、パニックを起こすかもしれないぐらい、とてつもない情報量です。


小説ならともかく、ゲームという映像媒体で、この膨大な情報量はキツイです。相変わらずの小島節全開のゲームになってます。


メタルギアソリッド3でも、無線通信の会話だけで30分ぐらいあったり、メタルギアソリッド4なんて、1時間近いムービーがあったりと、いかにも映画監督になりたかった小島監督らしい出だしです。


そして肝心のゲームプレイ部分はというと、最初は、本当にただ歩いて目的地まで荷物を運ぶだけのシンプルな物でした。


正直一体何なんだ、このゲームは? というのが冒頭部分をプレイした私の、嘘偽りのない感想です。


ゲームの負の要素の象徴としてよく語られる、いわゆる「お使い」をゲームに昇華したようなゲーム、それがデスストランディングです。


ですが、そのゲームに対するどこかネガティブな印象は、序盤のとあるチャプターを境に激変します。


そのターニングポイントになるのが、BTという未知の脅威との本格的な遭遇と、荷物を劣化させる時雨の恐怖、主人公サムを襲うミュールという荷物を奪う人達との交戦です。


チャプター2の中盤頃に、主人公のサムに、ミュール達の拠点へ赴き、彼らに見つからない様に内部に侵入し、奪われた、とある荷物を奪還してきてほしい、という任務が舞い込んできます。


ここから、これまでただの荷物を運ぶだけのお使いゲームに過ぎなかったデスストランディングに、なんとステルス要素、いわゆる軽いメタルギア的なゲームシステムが取り入れられてきます。


勿論、その時点でのサムには攻撃能力は殆どありません。ただ単に襲い掛かってくるミュールを殴って気絶させたり、上手く背後から接近し、ロープで縛り上げるぐらいしか出来ません。


ですが、メタルギアを遊んできたプレイヤーにとっては、これはまさに大歓喜の瞬間です。


この任務を無事にこなし、荷物を奪い返し、大量に戦利品を抱えてひいひい言いながら配達を終え、任務を報告した後、私は、「ひょっとして、このゲーム、これから死ぬほど面白くなってくるんじゃないのか?」 と感じました。


そして私の予感は的中し、主人公のサムは、物語が進むにつれ、橋から始まり、あらゆる建造物などを築いて、ついにバイクに乗ることが出来るようになり、荷物を的確に運ぶための導線を作っていくことも出来るようになります。最初は山道や川を必死に歩いていただけだったのですが、最終的にはとんでもない配送方法が出来るようなるにまで劇的にゲーム性が進化していくのです。もはや別のゲームを遊んでいるような気分にさえなります。


ですが、そのデスストランディングというゲームの面白さを体感でき、夢中になれるようになるには、最低でもゲームスタートから最低チャプター2までの4~5時間は、根気強くプレイをしないといけません。


小説などでも、冒頭は静かな出だしで忍耐が必要でも、中盤からクライマックスにかけて劇的に面白くなる作品もあれば、その逆もあります。


このデスストランディングというゲームは、その手の小説と同じで、冒頭、面白くなることを信じ、忍耐を持って読み進めていく必要はありますが、我慢して地道に先に進めば進めていくほど、どんどん続きを遊びたい気分にさせられる、そういうゲームなんです。


ゲームとしてはチャプター2までがプロローグで、チャプター3からが本番です。このチャプター3を攻略できるかどうかが、このゲームを楽しめる人かどうかの分かれ目になると思います。それぐらい、チャプター3からゲームが劇的に動きます。ミュールとの激しい戦闘が多くなり、BTとの遭遇率も上がります。対BT用の武器も手に入りますが、BTに関してはよほどのことがないかぎり戦わないにこしたことはありません。とにかくチャプター3を無事に乗り越えられるか、がプレイヤーにとっては正念場だと思います。



人によっては350時間程遊んでる、という廃人プレイヤーもいるそうで、私もその気持ちは解ります。いや、本当に、これ面白いんですよ。


とにかくデスストランディング、ストーリーが最高です。これはもう、プレイする映画です。ネタバレになるので内容は書けませんが、とにかく凄い面白いです。SF好きが涙を流すような内容の物語になっています。


主人公のサムを演じるノーマン・リーダスもカッコいいですし、皆大好き、声優の大塚明夫氏も序盤から登場して、ゲームのアドバイスを色々してくれます。


基本的に声優は、メタルギアソリッドに出ていた方が多いですが、個人的には水城奈々さんが演じる役が凄いよかったです。水城奈々さんというと、紅白にも出場経験のある歌の上手い声優さんで、昔はアイドル声優的な扱いをされていました。


が、いつの間にか超実力派の声優さんになっていました。元々海外ドラマの吹き替えもしていましたし、ペルソナ5にも出演していましたから、実力派声優である事は承知していました。彼女が演じる大人の女性の演技は、控えめに言って素晴らしかったです。そしていつものように永遠の17歳、メタルギアソリッド3でザ・ボスを演じた声優の井上喜久子さんが今作でも大活躍しています。


デスストランディングの真実も、アメリカを一つに繋ぐ意味も、アメリカ再建の意義も、この物語のエンディングを観れば、全て理解できます。


私はこのデスストランディングを、チャプター3辺りからドハマリし、地道に遊び続け、エンディングを観て、これはとてつもない神ゲーである、と認定しました。


子供の頃から色んなゲームを遊び、マニアックな洋ゲーなども遊んできたゲーム好きの私は、あまり神ゲーという言葉は気安く使いたくないのですが、このデスストランディングは、個人的に、控えめにいって神ゲーだ、と感じました。GOTYでベストゲームディレクション賞他を取ったり、2019年年最優秀ゲームに選ばれただけあって、解る人には解る、まさに通な面白さを持ったゲームです。ただ目的地に荷物を届けるのがこんなに大変だなんて・・・と、プレイしてて何度も苦悩を感じました。


ゲーム的に個人的に露骨に不満点らしい不満はなかったのですが、客観的に見て、これは改善してほしかったな、という点を何点か上げたいとおもいます。


・マップに等高線が欲しかった

ゲーム内にも傾斜を測れる機能はありますが、やはり配達ルートを吟味しているときに、マップに等高線があれば、と思うところはありました。


・乗り物の挙動がちょっと雑

ゲームの仕様上、仕方がないのかもしれませんが、特にバイクの挙動が少し大味かな、と思いました。


・文字が小さい

私は特に気になりませんでしたが、人によっては気になる部分かもしれません


・UIが微妙に使いづらい

冒頭からゲームの操作に慣れるまで、ちょっと時間がかかるかな、と感じました。操作自体は簡単で、操作方法も常に教えてくれるので、そこまで苦痛にはなりませんが、日を空けてプレイしていると、ちょっと戸惑う点があります。特に装備品の装備の仕方とかが独特で、少し慣れが必要ですね。


・戦闘が地味

私は初見、難易度HARDで遊んでいました。主人公は配達人で戦闘に長けた人物では無いので仕方ないのですが、戦闘シーンが少し地味かな、と感じました。もうちょいど派手なエフェクトとか、爽快感、全体的な歯ごたえがあってもよかったかなと思います。

あくまでも配達がテーマのゲームなので、戦闘はおまけ程度ですが、それでも激しい戦闘を望むプレイヤーはいたのではないかと思います。


上記5つが遊んでいて個人的に気になった部分です。


ですが、デスストランディングは、はっきりいって凄いゲームです。激しく人を選ぶゲーム性であることは間違いありませんし、万人にお勧めというゲームではありませんが、一度このゲームの世界に慣れ親しんだら、最高のハプニングとスリルと爽快感、達成感がプレイヤーを待っています。自分で創意工夫がして、あれこれルートを試せる人ほど、このゲームは没入度が高くなると思われます。



登山とか、ハイキング、ドライブが好きな人には凄いお勧めのゲームです。丁度良いタイミングで絶妙な音楽が流れてきたりと、粋な演出も多いです。本当に、場合によっては険しい谷底をはしご等やロープの建築資材を駆使して渡っていかないといけないので、楽しめます。


目的地までの一つの配達ルートをどのように踏破するか。転倒し、荷物が損傷するリスクを覚悟して、道中の険しい山道を強行突破するか、それとも安全に荷物を届けるため、少し迂回して時間をかけていくか、ということを考えるのも、ゲームを進めていくほどに楽しくなってきます。


一つの配達任務にかかる時間は、長くても30分ぐらいに調整されています。セーブも頻繁に出来ますし、オートセーブも入りますので、長時間ガッツリ一気に遊ばなくても、地道にコツコツ、一つか二つの任務を遊んでいくことも可能なゲームデザインになっています。


忙しい人でも、ストーリーを忘れない程度に時間を取って遊べば、充分楽しめるゲームです。クリア時間もそこそこやり込んで平均大体40時間ぐらいと、充分なボリュームです。色々寄り道したり、ガッツリやり込もうとすると、とてつもない膨大な時間がかかるゲームではありますが、エンディングを観るだけなら、そこまで時間はかかりません。


現在デスストランディングはPSのゲームカタログで遊ぶ事も可能ですので、もし興味のある人は、少しでも触れてみて、そのリアルな配達の世界を体験してみてはいかがでしょう。チャプター2までの多少の困難を乗り越えた先には、最高にスリリングな冒険が待っていることでしょう。


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空腹 伊可乃万 @arete3589

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