VTuber、成人式にメッセージ?

アーカーシャチャンネル

本編

【女騎士バーチャル配信者、チャンネル登録者数は伸び悩む】


 個人勢の配信者、それもゲーム実況や歌ってみたなどでもないバーチャル配信者に対し、ここまでニュースにすることはないだろう。


そういった声も出そうなまとめ記事に冷ややかな声も出始める。アフィリエイト目当てとはいえ、ここまでストーカーにも近いことをやってもいいのか?


【企業勢であれば契約打ち切りなどのケースもあるだろうが、個人勢では……】


【番組の内容によるのでは?】


【特に話題になるような配信をしているかと言われると、疑問が残る】


【一部のまとめサイトなどに利用されているだけでは?】


【匿名掲示板などでもそういう傾向のある人物はいるかもしれないが、バーチャル配信者では……】


 いつぞやのアイスコーヒー論争や駅伝の件を踏まえると、SNS上で名前を知った人もいるだろう。


しかし、実際にそういう名前の配信者がいた、とまで認識はされていない。やはり、まとめサイトなどが偽装している疑惑もあるのだろう。



 ノートパソコンで色々な動向を見ていたバーチャル配信者は、チャンネル登録者数の伸びていなかった事に対して悩んでいる。


『登録者数も変に伸びたら、それこそ疑われるし』


 しかし、変に数万単位で伸びた場合には余程のことがないとサクラを疑われたり、炎上しかねない。まとめサイトにも取り上げられるだろう。


それでも彼女はふと思う。本当に重要なのはチャンネル登録者数なのか? 発信する情報が有用でなければ、それこそまとめサイトに悪用されてしまうのではないか、と。



『今日はちょうど成人の日、新成人でチャンネルを視聴している人がいるかはわかりませんが』


 予告なしのゲリラ配信は彼女のスタイルとして定着、今や予告配信するなりすましアカウントが凍結されるレベルだった。


その彼女が成人の日にどのようなメッセージを発信するのかは、何故かSNS上で注目されている。


『新成人に限らないのですが、ここ最近は様々な批判記事がSNS上で拡散しているように思えます』


『場合によってはこうした発言を拡大解釈して炎上、まとめサイトが煽るケースも少なくありません』


『個人によって意見が違うのは当然の話です。しかし、批判は批判として切り離すべきだと思いませんか?』


『批判と中傷は当然違いますし、反対意見を批判と即判断して炎上させるような意見も違うでしょう』


『自分の発言は、あくまでも個人差があるでしょう。それでも、SNSを使うユーザーとしては悪意あるような炎上に加担してはいけません』


『それこそ、まとめサイトによって発言がゆがめられ、その後の信頼回復も難しくなるでしょうから』


 あくまでも彼女は個人的な意見としてメッセージを発信した。それこそ、まとめサイトが歪めて発信して炎上に利用するのは百も承知だろう。


それでも彼女は個人の良心を信じている。SNS炎上を故意的に行い、莫大な利益を得ようとする悪意あるインフルエンサーはフィクション内だけの話であるべき、と。



 それから数時間後、やはりというか女騎士の発言はまとめサイトによって悪意を持って拡散され、炎上という展開は繰り返された。


彼女としても、これらの流れを『一種のマッチポンプの可能性がある』という意見を切り捨てることはできないでいる。


本当の意味でSNSの炎上がなくなる日は来るのだろうか? それこそ個人のモラルにかかっているのではないか?


繰り返される流れがマンネリとして炎上勢力が撤退し、SNSが正常化するのは近い内にあるのか?


彼女は配信を続け、それを問い続けるだろう。その日が来たら配信をやめるのか? それは定かではない。


【彼女にとって、成人の日は本当の意味でのVTuberデビューとなるのか】


【違うな。デビュー自体は既にアイスコーヒー論争で……】


【企業Vへの進出か、それとも個人勢としてのブレイクか?】


 様々な意見がつぶやかれていくのだが、それさえもゆがめて配信するのが悪意あるインフルエンサーだ。


そうした勢力にならないように、様々な監視の目が必要となっていくのか、それともSNS自体が衰退していくのが先か……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

VTuber、成人式にメッセージ? アーカーシャチャンネル @akari-novel

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ