【読み切り版】虚無の錬成術師〜異世界転移したら魔王になったので、魔王らしく女神をぶん殴る〜

ラウ

第1話 神に牙剥く者

第一話 神に牙剥く者

 

 東京都内でも進学校に通う周囲より少しばかり恵まれた素質を持つ高校生『櫻井創真』は教室の片隅から、今日も今日とて変わり映えしない街並みを眺めていた。

 

「おいおい、また櫻井が学年一位かよ」

「教師を脅して答え教えてもらってんじゃねぇの?」

「ちょっと、聞かれたらどうするのよ! 下手なこと言わないで!」

「そ、そうだな。悪い」


 道行く人々を眺める事に飽きてボーっと空を眺めていると、クラスメイトが悪態を吐く声が聞こえてくる。


 彼の顔は絶世の美男子と言って良い程に整っているのだが、その瞳が鷹のように鋭いからか怖がられることが多く、幼い頃から何かと邪推されやすい。

 不正などは一切していないのだが、理解してもらうには理不尽な悪評が独り歩きし過ぎていた。


 窓の外へ向けていた視線をコソコソと話す男女グループの方へと向ける。

 たったそれだけで、彼らはビクッと肩を震わせて蜘蛛の子を散らすように立ち去った。


「いや、そもそも会話が成立しないんだから論外か」


 仲良くお友達ごっこなどという理想はとうに諦めていた。

 幼い頃に行方を眩ませた唯一の例外を除いて、生まれてこの方、この目付きのせいで誰もが遠巻きに扱い、知り合いと呼べる人物すらできなかったのだから諦めもつくというものだ。

 

「俺も帰るか」


 “今日もつまらない日常だったな”、と溜め息混じりに教室を出る。

 生徒が一斉に帰る時間帯であるため、廊下には生徒が密集しているが、避ける必要もない。

 ただ歩いているだけで生徒たちが勝手に道を作ってくれるからだ。


「あ、あれが櫻井……ッ! 確か、一〇〇人以上の暴走族を一人で血祭りに挙げたとか」

「ヤクザの事務所を一人で潰したとかも聞いたぞ」

「東大生がクイズバトルで負けて発狂したとか」

「なんかそれだけ毛色が違くね?」


 周囲の騒めきをBGMに、下駄箱で靴を履き替えて外に出る。

 反論しようにも、全て事実である為言うこともないからだ。


(全部向こうから来たっつっても、返り討ちにしたのは事実だからな。仕方ない)


 好き好んで敵を作りたい暴れん坊でもないため、最初は反撃もせず躱して、相手にしていなかった。

 だけど、不良というのは性質タチが悪いもので、そうして逃げ回っているとクラスメイトを巻き込んでくるのだ。

 交流も何もない間柄とはいえ、己のせいで迷惑をかけるのは申し訳ない。

 だからこそ、全て叩きのめして自分自身にだけ悪意が集束する様に仕向けた。

 面倒ではあるが、関係ない人間を巻き込むくらいならこっちの方が遥かにマシだからだ。

 誰かがこの真実を知れば、それはとても悲しいことだと嘆くのかもしれないが、彼はそれで満足していた。

 満足せざるを得なかった。


 そうこう考えている内に校門に差し掛かる。

 そして、校門を一歩踏み越えた瞬間、死角から何かが迫る。

 直感のままに身体を後ろへ仰反のけぞらせると、眼前を金属バットが通過した。

 

「うわ、今日もだよ」

「バッカだなぁ」

「あ、すいません救急車一台お願いしゃーす」


 突然の襲撃があったというのに、周囲の生徒はまるでいつものことかのような反応を示す。

 そこに危機感というものはなかった。

 

 まぁ、下手人が既に意識ぶっ飛ばしているのだから無理もない。


(いや、やっぱりそれにしても危機感なさすぎじゃないか?)


 襲撃者である金属バットを持った不良は意識を失って地面に倒れている。

 と言っても、超能力だの魔術だのを使ったわけじゃない。

 不意打ちを躱すと同時に、反応できない速度で顎へ裏拳を叩き込んだだけだ。

 顎への衝撃は脳震盪のうしんとうを誘発し、一撃で昏倒こんとうしてしまったと言う訳だ。


「ったく。不意打ちは加減できねぇからやめろっていつも言ってんだろ」


 救急車の手配は周囲の善良な野次馬たちがいつも通り行っていたため、彼はそのまま帰路へ着こうとした。


 その時だ。


 突然、世界は色彩を失い。


 全ての人間が停止した。


 空を見上げれば、鳥は優雅に夕焼けに燃える黄昏たそがれの空を飛んでいる。

 あたりを見れば、延々とアイドリングを続ける自動車やチカチカと点滅を繰り返す街灯があった。


 世界はその動きを止めていない。

 人間だけが全活動を停止していた。


「お前か? これやったの」


 背後に突如出現した気配に振り向きながらそう尋ねる。

 下手人の姿は、この世のものとは思えない容姿端麗な女性だった。

 金色こんじきに輝く頭髪は足元まで伸びて、半ばから毛先にかけては全ての光を飲み込む漆黒に染め上げられ、星々が煌めいている。

 その様はまるで宇宙のようだった。

 瞳は太陽を思わせる紅蓮に、金色こんじき円環えんかん転輪てんりんしていた。

 その姿は幻想的、と表現するには異形に過ぎた。


 全知全能の女神。

 普通の感性を持つ人間ならばそれ以外に彼女を形容する言葉は持たないだろう。

 しかし、彼はそれよりも先にこう思った。


(異形の女神、か)


 それは、彼が全知全能など存在しないと考えるからこそ出た言葉だった。

 全知全能などというものが存在するのなら、こうして目の前に現れる必要もない。

 異形の女神がそうあれと考えた時点で全ての事象は完結してしまうからだ。


 だけど、目の前の存在は超常現象を引き起こす人外であることは間違いない。

 それだけは彼女の容姿や周囲の人間を停止させたことからも明らかだった。


「ええ、面白そうな子供がいたので、様子見に」


 彼女の言葉は脳に直接響いた。

 初めての感覚に気持ち悪さを抱くと同時に、その声色があまりに綺麗で脳髄のうずいとろけそうになる感覚を覚える。

 意識していなければ、あっという間に彼女の声に理性を溶かされて冷静な判断はできなくなるだろう。


「俺一人の為に御大層なことだな」


 櫻井は脳髄をとろかしてくる声に抗いながら言葉を絞り出した。

 その間も油断なく眼前の異形を見据える。

 彼女が世界常識の外にいる存在であることは明白。

 油断すれば声で理性を溶かされるだけじゃない、次の瞬間には存在ごと掻き消されていてもおかしくはないからだ。


「こうでもしないとこの世界の神が介入してくるもの。神の力の源泉は信仰心だって言うのは有名な話でしょう? だから、その源泉を絶ってやれば、少なくとも直ぐには動けないのよ。……アレと殺し合うのも一興だけど、そうなると私の望みは叶わなくなるしね」


 『神』という現代に至っても未だ実在も不在も証明できない存在がまるで当然かのように出てきた。


 人類が思い描いてきた『神』と同一のものかは怪しいが、少なくともそれと同等の存在であることは確かだろう。

 それよりも、彼が気になったのは彼女が告げた最後の一節だ。


「望み?」

「ええ、私の世界の子供たちは従順な家畜と牙を抜かれた子犬ちゃんばかりになってしまったから、他所よそのお庭から主人の手を噛むような狂犬をちょっとばかり拝借しようと、ね」


 つまり、目的は誘拐。

 己が世界に飽きたから、他所の世界から異物を混入することで、より面白おかしい世界にしようと、この異形の女神は言っているのだろう。

 そして、その異物として選ばれた一人こそが『櫻井創真』という訳だ。


「そうか。確かにこの世界は飽き飽きしていたところだったんだ。連れて行ってくれるなら好都合ってなもんだ」


 勉強一つとっても、教科書や学術書を読めば一目で理解できる。

 完全記憶能力によって忘れることもない。

 天性の肉体にも恵まれ、運動能力も高い彼はどのスポーツにおいても優秀だった。

 習った武術も数ヶ月あれば師範を超えることができた。

 

 そんな怖がられる容姿以外はイージーモードな人生が嫌いではなかったが、誰とも深く関われないというのは寂しいものだ。

 幼い頃、彼の眼を怖がらずに交流してくれた唯一の存在も、随分昔に行方をくらまして以来何処にいるのか分からない。


 だけど、異世界であれば、鋭い目付きなど気にならない異形がたくさんいるかもしれない。

 この世界では遠巻きにされ、誰とも関われなかった己にも知り合いと呼べる誰かができるかもしれない。

 俺の容姿を恐れない、そんな誰かが……。

 

 そんな、僅かな可能性に賭けてみたいと思った。

 だから、彼は異形の女神へと歩み寄っていく。


「だけど、そう言って従順に着いていくような奴はお呼びじゃないんだろ?」


 異形の女神は言っていた。

 『従順な家畜と牙を抜かれた子犬ちゃんばかりになってしまったから、他所よそのお庭から主人の手を噛むような狂犬をちょっとばかり拝借しよう』と。

 なら、ここで噛みつかない子犬などお呼びじゃないということだろう。


「フフフ、お利口ね。そうよ、首輪の付いたワンチャンなんてお呼びじゃないの。やっぱり飼うなら躾のなっていない狂犬じゃないとね」


 上品な笑みを浮かべるその口から吐かれた言葉は人間を見下しきった言葉だった。

 つまり、彼女は叛逆されたいのだ。

 己が築き上げた世界を壊してくれるような。

 その先にある己の存在にまで牙を届かせるような。


 そんな誰かを待ち望んでいるのだろう。


 だからこそ、彼は異形の女神の眼前で立ち止まり、牙を剥いた。


「良い趣味してんじゃねぇか」

 

 言葉と同時に、異形の女神の虚をついてその顎を蹴り上げた。

 鍛え上げられた肉体から繰り出されるのは、ベクトルさえも自由自在に操る領域まで昇華させた体術による一撃だ。

 そこらの不良なら即死するような威力だが、異形の存在なら死にはしないだろうと考えていた。


 だが、それはあまりに甘い考えだった。・・・・・・・・・・・


「あらあら、これはアタリかしら?」


 異形の女神には傷一つついてはいなかった。

 いや、これはそれ以前の問題だ。


(届いてない。まるで二次元の存在を相手にしてるみたいだな)


 異形の女神と蹴りの間には僅かな空隙くうげきが存在した。

 しかし、幾ら力を込めようともその僅かな空隙がどうしても埋められない。

 現実の人間がアニメや漫画の世界に入り込めないように、まるで次元が違うとばかりに干渉が断絶されてるみたいだ。


 しかし、それならそれで別の側面から攻めるまでだ。

 

 打撃は意味を成さないと理解し、背後へ飛び退って距離を取る。

 そして、近くにあったコンビニへと転がり込むと、大量の小麦粉とライターを拝借していく。

 

 この世界に未練もないが、代金としてもう使うことはないであろう硬貨をばら撒くと、自動ドアを蹴り破って外へ出る。


「お前、酸素は摂取してるのか?」


 異形の女神はまるで、どう対応するのか楽しむかのように、外で悠然と佇んでいた。

 そんな彼女へ大量の小麦粉をぶち撒ける。

 幸い、今は無風に近い。

 遮蔽物の少ない道路であろうとなんとか条件は満たせるだろう。

 拝借したライターの火を灯すと、小麦粉が舞い散る異形の女神の元へ投じる。


「あら、過激ね」


 異形の女神が頬に手を当てて優雅に微笑んだ瞬間。


 辺り一面を爆炎が飲み込んだ。

 空気中に舞い散る小麦粉にライターの火が引火して、粉塵爆発を引き起こしたのだ。

 

 当然、この程度の物理的火力が通用するとは思ってない。

 次元の隔たりが純粋な火力で乗り越えられるはずがない。

 重要なのは、莫大な炎が異形の女神の周囲に存在する酸素を根こそぎ奪うことにある。


 だが、


「ふふ、健気なことね。でも無駄よ。私は呼吸を必要としない」


 異形の女神には通用しなかった。

 呼吸を必要としない彼女は爆炎の只中ただなかで優美に微笑んでいた。


「化物だな。なら、次だ。乱れた精神状態でもその完全性を維持できるか?」


 櫻井がコンビニで拝借していたのは何も小麦粉とライターだけじゃない。

 洗剤や熱冷まシートに含まれる薬剤、洗顔料に整髪料などを掛け合わせてとある薬品を作っていた。 

 彼はそれを躊躇なく異形の女神へ振りかける。


 今度は、瞬間的な変化はなかった。


「?」


 よく分からないものを掛けられただけで、特に変化のない様子に異形の女神は小首を傾げる。


 当然だ、これは毒薬などではない。

 即効的な効果が出るような劇物ではない。

 

 変化は遅れてやってきた。

 

 ガサガサ、ブゥゥゥン、カサカサ。


 耳障りの悪い、だけど誰もが聞き覚えのある音が周囲一体から鳴り響く。

 

 そして、遂に変化はその全貌を表した。


「ヒッ!?」


 それを目にした異形の女神は初めてその表情を負の方向へと歪めた。

 明確なまでの嫌悪の表情。

 みっともなく叫ぶことこそなかったのは、女神としての矜持きょうじがからか、それとも恐怖と嫌悪感で声さえ出なかったのか。


「人外といえど、これは流石に堪えるみたいだな」


 櫻井が作り出した薬品は超強力な虫の誘引剤だ。

 整髪剤を開けっぱなしで放り出したままにしていれば虫が集るというのは有名な話。


 その原理としては、フローラル系の甘い香りを花の蜜の香りと勘違いして寄ってきていると言うものだ。

 その原理を利用して、寄せ集めの薬剤を掛け合わせることでその香りを増幅し、超強力な誘引剤を即興で作り出して異形の女神へ大量の害虫を誘導したのだ。


「どれだけがわが異形であろうとも、その内にある感性は人並みだったみたいだな」


 押し寄せるは黒い津波。

 それは街の影に潜む裏の住人たちだ。

 ゴキブリ、ムカデ、アリ、ハエ、ガ、カナブン、ゲジゲジ、カ、アブ、ハチ。

 多種多様な害虫達が津波となって異形の女神へ襲い掛かっていく。


「〜〜〜〜ッッッ!!!」


 声にならない悲鳴を挙げてその身に宿る神としての莫大な力を振るおうとした。


 だが、櫻井はそのような動きを許さない。

 

 異形の女神が力を振るう前に、彼はもう一度小麦粉をばら撒いて、火のついたライターを投げ込んだ。

 すると、即座に粉塵爆発が巻き起こり、黒き害虫の津波諸共、爆炎が異形の女神を焼き焦がした。


「イギャァァァアアアアッッッ!!!!」


 読みは当たっていた。

 精神が乱された影響で次元の壁が緩んでいた異形の女神は、再度の粉塵爆発によってその身を焼き焦がされている。

 畳み掛けるならば、今こそが好機。


「もう、テメェは完全なる存在なんかじゃねぇ。ここに一人、テメェの弱点欠点を知る存在がいる」


 神の力の源泉は信仰心。

 それは彼女自身が口にしていたことだ。

 つまりは、彼女の完全性もまた人々の信心によるもの。

 ならば、たった一人、櫻井創真が彼女の不完全さを知っていれば、それもまた彼女の力となってしまう。

 全体からみればほんの僅かなものとはいえ、異形の女神の不完全さを証明する、完全性を打ち砕く亀裂くらいにはなる。


「歓べよ女神——」


 害虫による精神の乱れ。

 それが引き起こした彼女の負傷という不完全性の証明。

 そして、それを知るただ一人の人間の想念。


 それらが積み重なり、ここに異形の女神の完全神話は打ち砕かれた。


「——人の牙は、確かに届いたぞッッ!!」


 黒き津波を焼き焦がす爆炎を突き破って現れた、神の想定さえも凌駕する男の拳が迫る。


 そう、何もかもが想定外。

 彼女は遊び感覚でしかなかった。

 本当に噛みついてみせる気概のある者がいるとは思っていなかった。

 仮にいたとしても、本当に傷を負わせてみせる者がいるなどと想像もできなかった。


 だけど、ここにただ一人。

 神でさえ想像し得ない偉業を成す規格外がいた。


「ああ、なんて素敵な人」


 己の頬を強かに打ち抜く痛みに酔いしれながら、異形の女神は校門の壁まで吹き飛ばされた。

 校門の壁を背に倒れる彼女は全身傷だらけであるにも関わらず、その相貌そうぼうに浮かぶ表情は恋する乙女のそれであった。


「フ、フフフ。最高よ。ああ、これが恋というものなのかしら? 素敵な感情。世界が色づいて見えるわ」


 彼女の心象風景を投影するが如く、天空が極彩色に色づく。

 そして、雲間が切り拓かれ、差し込んだ薄明光線が爆炎によって火傷を負った櫻井の身体を包み込む。

  

 包み込まれたのは櫻井だけではない。

 彼は知る由もないが、同様の現象は世界各地で確認された。

 それらは、全て彼女があらかじめ連れ去る予定だった牙ある者たちであった。


「チッ、流石に打つ手がないか」


 櫻井は自身を包み込む薄明光線から出ようとするも、光は結界のように物理的な障害となって脱出を阻んでいた。

 

「ねぇ、最後に貴方の名前を教えてくださるかしら?」


 異形の女神はとろけるような笑みを浮かべて、自身を初めて追い詰めた人間の名を尋ねる。


「櫻井創真」


 異世界へ行く覚悟を決めた彼は、全ての元凶たる異形の女神へ淡々と名乗る。

 殺す気で挑みかかった相手とはいえ、別に恨みがあった訳ではない。

 彼女に牙を剥けたのは、ただ彼女がそれを望んでいて、彼はその資格を示しただけだからだ。


 そして、この世界に退屈していたこともまた事実。

 連れ去られても未練はなく、寧ろ異世界へ行けることを楽しみにすらしている。

 この世界は己を受け入れなかったが、異世界ならば己を受け入れてくれる誰かがいるかもしれない。

 それに、異形の女神を殴り飛ばすという明確な目標が持てたことは喜ばしいことだった。


「そう、新しい世界を始めるに相応しい良い名前ね」


 異形の女神はどこまでも優しげな笑みを浮かべて、彼の新たな門出を言祝ぐ。


「私が治める世界の名はアルカディア。家畜と牙を抜かれた子犬達の箱庭」

 

 薄明光線に満ちる光が次第に強まっていく。


「美しくも、厳しい世界で貴方がどう生きるのか、楽しませてもらうわ」


 光は極限まで強まり、最早目も開けていられない。


「願わくば、貴方が私のもとまで辿り着いて、もう一度牙を剥いてくれんことを」


 その言葉を最後に、世界各地に差し込んだ薄明光線は極光を放った後に消失した。

 

——ああ、テメェの助けを求める声・・・・・・・。しかと聞き届けた。必ず、もう一度その面ぶん殴りに行ってやる。


 そして、停止した世界はまた動き出す。

 世界から消失した彼らの存在を忘れて、平凡で変わり映えのない日常は回り続ける。


——そして、もう一度本当の笑顔ってのを思い出させてやるよ。

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【読み切り版】虚無の錬成術師〜異世界転移したら魔王になったので、魔王らしく女神をぶん殴る〜 ラウ @wako-bird

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