第2話

「アリス!」

うさぎはいつか傍に居なくなってしまうと言っていたんだっけ。

(でも、きっと…うさぎは。)


手を伸ばせばいい。

それだけで大丈夫だから、きっと。

空から落ちてきた少女は白ウサギの手を掴むと、ふわりと身体を浮かせ、

トン、と地面に着地した。

まるでこのせかいにうまれおちたように。


ヨウコソ、ふしぎの国のアリス、ありす、アリス。


「アリス、久しぶりだね。いつもの挨拶は置いといて鍵を持ってるかい?」

かぎ、は何処にもないのだ。

でもね、あるのだけれど、それは唇にキーワードをしまっているの。

それは、ひとつの言葉を言えば良い。


「ひとひらの愛を」


ボッ、ふわり、鍵が見える光と星と金貨と笑顔と!

こんなに世界は優しさで満ちている。


扉が開いた。


scene02*金平糖と淡い恋模様


このせかいに生まれ落ちたのはなぜ?

それは誰もが知っている。

アリスの恋は叶うでしょう。

だって相手はノラネコ。白猫、白猫、可愛いおひげ。

電話をかけたら、いつでも繋がる、こころでかけるにゃんだふるふぉん。

愛を紡いで、甘い言葉は星のように光り、ぴかぴかと灯りともる。

それはまるで金平糖のようだわ。恋はきっといつも、光溢れる。


ねえ、ノラネコさん、いつも会いに来てくれる?


答えは聞かなくても分かる。

だからいつも窓は開けておくの。

きっと夜いつも立ち寄ってくれる。貴方に。君に、私に。歌を携えて。





ギィ、コトッ。

あら素敵な瓶詰め。金平糖ね。約束したもの。

ノラネコさん、ありがとう。

月の歌が聞こえてきたから一緒に眠ろう。


「おやすみなさい、良い夢を」




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うさぎと時計の時間 チェルシー @tixeru02

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