第4話 濃い朝


時間にして夜の1時だった。


突然漣君が泣き出した。


号泣という名前が合うくらい泣いていた。


涙がずっと止まらなかった。


「..じ!!おや...!!」


何かに向かって叫んでもいた。


悲痛な声で...


そんな漣君を見るのはつらかった。


言葉や最近の状況からなんで漣君が泣いているか分かった。


多分お父さんのことなのだろう。


彼は自分のお父さんが大切だから...私にはわからないほどお父さんが大切に思っているからこんなつらい声を上げているんだと私は思った。


「漣...くん...」


こんな状況を黙ってみることは私にはできなかった。


「漣くん!漣くん!!!」


声が聞こえたのか目をうっすら開けた。


別に彼が病気を患っているわけではないのに目を開けてくれて...私の反応に答えてくれたことに安堵した。


彼が無事そうだったのを見て思わず涙を流してしまった。


学校で見せない顔を彼に見せてしまい少し恥ずかしい少し恥ずかしかった。


「おひゃようございます...」


開口一番にこれだ。


少し心配した私にこんな可愛いのは反則だ。


思わずにやけてしまった。


「ふふっ...可愛い」


にやけを少し隠してから


「漣君どうしたの?悪夢でも見たの?」


そう聞くとどういえばいいのか困っているという顔をしながら...そして思い出すのがつらそうな...そんな顔をしていた。


「思い出したくないなら無理に言わなくていいよ!」と声をかけようとすると


「いや...まぁ悪夢といったら悪夢だけど...ちょっと親父を思い出したの...やっぱり今まで親父が俺を育ててくれてたから...さ」


とだんだん後が弱くなりながら...しまいには泣いてしまっていた。


漣くんにこんな思いをさせる漣くんの父さんに少し殺意を覚えた。


仕方ないことなのだろうとは思うけどやっぱり許せなかった。


でも今はそんなことより大事なことがある。


そっと漣くんを抱きしめた。


「ふぇ?」


あぁ...この可愛さ...ずっと自分のものにしておきたい。


この可愛さはずるい。


そしてこのあたたかさ。


ずっと抱きしめていたくなるこの背広。


やっぱり実感してしまう


“私はこの人が好きだ” と。


最初は可哀そうだと思って買ったこの子はいつの間にかに私の心の中に入り込んですとんと座ってくつろいでいた。


その次に出てきた言葉で完璧に私の心を奪った。


「ミリア...おねぇちゃん...」


ふぁ!?


これはアウト!!


ダメダメ!!!!


あーもうやられた。


こんなの対応できません。


え?だってさ明らかにダメでしょ。


もうだめ。


そうして元からなかった語彙力はもっと消えてった。


「今は私に身を委ねて身も心も落ち着かせて」


我ながらクサいセリフだとは思ったが彼にはそれが安心させる一言だったらしい。


彼を心配していったのもあるが自分を使ってほしいという気持ちもあった...というかそれの方が強かったのかもしれない。


そうすると彼はもとからとろーんとしていた瞼が徐々に閉じていった。


もう理性が欲望に負けて思わず彼のほっぺにキスをしてしまった。


柔らかかった。


男子なのにこの柔らかさ?!


彼女なのじゃないの?


驚きもあったが一番は満足感だった。


「べ、別に買ったんだからキスしてもいいもんね...」


そんな言葉は漣くんの寝息とともに消えてった。


これはOKということだよね...?


もう一回しようと思ったが今回は理性が勝ってキスはせずにそのまま寝た(彼のベットで)。


...そもそもなんでここにいたんだっけ?




___________________


「んぁ?」


目が覚めた。


本日二回目の起床だ。


ちなみにだが今日はみんな大好き土曜日。


珍しくパートもない。


時計は10時43分と書いてあった。


ぐぅぅ


おなかから「俺はもう準備満タンだぜ!」という声が聞こえた。


「おなか減ったな...」


そうして起きようとするとミリアに抱き着かれていることに気づいた。


(すげぇなこの人...ずっとこの体勢で寝ていたのか...てかこれさっきもこんな感じになったから朝パスしたんだよね?...なんかデジャブ...)


そのまま出ようとすると


「ん~...」


そのままミリアの胸の方に引っ張られた。


「ミリアさん!もう昼近いよ...ご飯食べないと!」


そういうと彼女は何をとち狂ったか


「漣きゅんたべるぅ~」


そういって彼女は俺の手をつかんで人差し指と中指をパクっと彼女の口にくわえた。


「ひゃぇ?!」


また出たよ情けない声...


でも今回は仕方ない。


これは急なことでかつびっくりする内容だから仕方ない...


そんなことはいい!!


早く何とかしないと!


俺の腹も準備ができてると叫んでる!


...結論から言おう。


無理だった。


あのさ?!彼女口の中で俺の指を飴みたいに転がすんだもん!


想定以上にきもt...衝撃で体が動けなかった。


だー!ちゃんというよ!この状態が終わるのが嫌だったんだよ!


...ツーことであきらめたんだけどなんか嫌じゃん?


このまま俺だけが我慢するのは...


ということでどっきりしましょう。


彼女が起きたときに思いっきり抱き着いてたらどういう反応をするのだろうか?


悲しいながらもミリアの口から指を抜いて(めっちゃエロかった)ぎゅっと抱き着いた。


もう抱き着かれたりたくさんしてるんだから恥ずかしさはなくなった。


とりあえず目をつぶって寝たふりをした。



……


………


しばらく経って彼女が起きた。


すると...


「ふぇぇ?!」


そんな声が聞こえた。


ふふふ...驚いてる驚いてる...


さっき食らったお返しだ!


「...幸せぇ」


えっ?!そうなるの?!


「もう好きすぎるよ...可愛すぎる...牢獄か何かに閉じ込めたいぃ...」


えっ?俺これやばい?


俺は決心した。


もう彼女の前でやべぇことはしないと...


「漣くん~起きるよぉ...」


もうおなかぺこぺこ丸だから起きるか...


「んん...おはよう...」


「漣くんもし起きてた?」


ぎくぅ...どうしてばれた?!


「だって寝起きのあの可愛いのがなかったし...あれ待ってたのに...」


後半らへんは聞き取れなかったが...てかなんで心が読めるんだ?!


「えっ?なんで心が読めたかって?そりゃ顔に出てるからね。」


「俺ってそんなでやすいか...」


「で?なんであんなことしたのかな?」


こ、こわい...答えないという選択肢をなくすよな圧だ。


表情は笑ってるのに笑ってない。


もう言うしかない...


「え、えっと...」


そのままあったことを全部話した。


話してる途中から顔を赤く染め上げて


「あぁ...はぅぅ...」


と言っていた。


「んでそれの仕返しに抱き着いたんです!」


というと彼女はおそるおそる聞いた来た。


「じゃあ...私が漣くんのことを大好きって言ったことも?」


「は、はい...」


えっ?あれマジだったの?


てっきりからかってるんだと思った...


あれが本当なら...まじかよ...


「こ、答えは?」


「えっ?」


「答えは?って聞いとるの!!」


え?告白?プロポーズ?...ま?


俺たちで会って1日もたってないよ?


えぇ...


「付き合うかってことだよね?」


そう聞くと彼女はとてつもないことを言ってきた。


「結婚するかと聞いてるの!!付き合うなんてちゃらちゃらしたものはいらないわよ!!」


WOW...彼女まじな顔だ...


「え、でもさ?まだ出会った1日もたってないよ?」


「もうごちゃごちゃうるさいの!あなたは私のものなの!」


おぉうここまで来たら俺の意志関係ないジャマイカ...


どうしようかな...でも...親父がいないこの中で僕のことを優しくしてくれた彼女には感謝しかないし恩がある。


あと可愛いし...好みドストライクだし...


仕方ない...


「わかったよミリア。好きにしてくれ。」


すると彼女は顔を輝かせて。


「わかったわ!市役所行かないと!!」


「いやそりゃ待て。」


「どうしてよ!もう結婚することに決まったんでしょ?」


「法的にもアウトだしまだお互いになれてからにしよう。」


思い出してほしい。今16だよ?


無理やん。


怖え...この人...


でも面白い人だと思った。


多分この人にだけなら自分を出せると思う。


「とりあえず昼食とろうか」


「そうだね!」


二人は仲良くリビングに向かっていった。


片方はおなかが減りすぎてちょっと急ぎ足で歩いてもう片方はうきうきしてスキップみたいな形で歩いていた。

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親父に裏切られた少年は美少女に買われる 鬼雨とゐふ者 @moti0920

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