第6話 サンタさんの愛する人

奈海は温泉旅館に無事到着した。予約した時は彼女と燦太の名前を使っていたが、受付のスタッフに燦太は仕事で来られなかったという嘘をついて、一人で宿泊することになった。だけど、受付のスタッフがそれを聞いて、なぜか意味不明の笑顔を見せた。


女一人がクリスマスイブに温泉旅館で泊まるって、やっぱり振られたなと思われるでしょう?まあ、事実はまさにそうだけど。


旅館のスタッフに夕食の準備は8時ぐらいにして欲しいと言った後、奈海は一人で部屋に入った。こんな素敵な部屋を独り占めできるなんてと思ったが、やっぱり燦太と来ればよかった。奈海は燦太のことを思い出したくないと決めて、早速部屋にある露天風呂に入った。最近はクリスマスのピークで毎日忙しくてまともに休めないから、お風呂でリラックスし、夕食を堪能してから早く寝ようと決めた。


同時に奈海からの「別れ宣言」をもらった燦太は慌てて一番早い新幹線に乗り温泉旅館へ向かった。彼は旅館に到着した時、スタッフに協力を求めた。


「彼女は俺が仕事で遅れたことで怒ったので一人で来た。彼女に内緒して俺を部屋に案内してもらいますか?」


どうやら、こういう状況ってカップル客の場合は結構あったそうだ。幸いにも予約した時、燦太の名前も入っていたから、免許証を提示すれば、旅館のスタッフに協力してもらえた。


部屋に入った燦太は奈海のかばんを見て、一安心した。


やっとこの"逃亡彼女”を捕まえた。


新幹線で向かう途中ずっと緊張していた。連絡が取れないけど、奈海は多分せっかく用意した温泉旅行をキャンセルしないだろうと思った。案の定、彼女は予想通りこっちに来た。奈海と一緒に長い間過ごしただけで、彼女の考えをある程度予想できた。


お風呂から水の音と微かな声が聞こえた。燦太はなるべく音を立てずに、早くシャワーを浴びて、部屋にある露天風呂へ入った。


後ろから"侵入者"が近づいてきたことを知らずに、奈海はまだお風呂を楽しんでいた。目をつぶったままだけど、誰かがお風呂に入った気配を感じて、すぐ目を開けた。そしたら、現れるはずのない燦太が目の前にいた。あまりのショックで叫びたいとする瞬間、燦太は奈海の口をキスで塞いで、彼女を自分の方へ引き寄せ強く抱きしめた。


暫くしてからようやく解放された奈海はまだ状況を理解していないように、燦太の顔をただ見つめていた。燦太は彼女の表情を見て、安心したように笑った。


「夢?妄想?」

「現実」

「何で?優唯さんと…」

「俺が選んだのはあなただから」

「ありえない」

「目の前にいるのに?まだ信じられない?」

「彼女をそんなに長い間愛しているのに…」

「あれは高校時代の片思いだった。今は奈海を愛してる」


奈海はその言葉を信じていないように、燦太から目を逸らした。そしたら、燦太は両手で彼女の頬を包んでこう話した。


「俺が愛する人はあなたです。今もこれからも。だから、もう逃げないでよ。さっきあのメールを見た時、本当に心臓が止まったようにびっくりした。俺の気持ちをしっかり受け止めて」


そう言った燦太はまた奈海にキスした。二人がパリで初めてキスをしたように、深く長く続くキスだった。ようやく放してくれた時、奈海は自分の手で燦太の顔を触った。


「私でいいの?」

「じゃ、俺でいいの?」

「燦太と一緒にいたい」

「同じ考えだ、奈海と一緒ならいい」


二人は笑顔になりお互いを抱きしめた。だが、奈海は何かを思い出したように、いきなり燦太を突き離して、すごく動揺しているように見えた。


二人が裸でお風呂で抱き合っていたことだ。


「いや…何で一緒にお風呂に入ったのよ?恥ずかしい…こうして明るいところで…その…」

「今更それを気にするの?お互いの体はもう見たことあるだろう?」

「あれは…暗い時だし…お風呂ではない…」

「もういい加減慣れよ。これからこういうことを何度もするからさあ」


そう言われた奈海は顔が一気に赤くなって、恥ずかしいからお風呂から出ようとするが、燦太に引き留められた。


「もうちょっと一緒に入ろうよ。最近忙しくてさあ、ゆっくりお風呂に入って、疲労回復になるから。」


そう言われたから、奈海は仕方なく燦太に後ろから抱きしめられたままお風呂に残った。外は寒くて雪が降り始めたが、恋人同士の二人は暖かいお湯を浸かりながら、お互いに愛を語りました。


サンタさんはようやく愛する人と結ばれた。

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サンタさんの選択 CHIAKI @chiaki_n

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