第3話 わたしはりぃちゃん !《我が家とその周辺》
──わたし、りぃちゃん。小学5年生!みんなりぃちゃんって呼ぶから、そう呼んで欲しい。好きな物は、本を読む事とお菓子!
うちの家族は、おじいちゃんおばあちゃん、お父さんお母さん、とわたし。
うちは「箱屋さん」をやっている。一階が工場になってて、箱を作る機械がいっぱい置いてある。角をホッチキスで止める機会とか、箱に綺麗な紙を貼るための「にかわ」を溶かす機械とか。
あ、「箱屋さん」はおじいちゃんで、お父さんは普通に仕事に行く。おばあちゃんとお母さんはおじいちゃんのお手伝い。わたしも、貼った紙の端っこを折ったりお手伝いするんだ。クリスマスの前は、ケーキの箱作りで大忙しなんだよ!──
小説風に書くとこんな感じか。小説ならそろそろ自己紹介が入る所かなと思って。
実際には物心ついた時から15歳の冬くらいまでの幅があるんだけど、まあ大体こんな感じの娘っ子が見た世界だと思って欲しい。ただ上記にも少し嘘があって、小5頃には大分箱屋の仕事を縮小していたように思う。ならなんで小5設定にしたのかというと、ここら辺で大きな人生の転機を迎えるからだ。今回はその下準備的な話にしようと思う。
脳内で、当時のうちの近所を散策してみるのだ。…と言っても前述の通り結構時間的な幅があるし、覚えていない部分も多いのでかなり不安だ。
私の家の玄関は中通り…というか大分「路地」と呼ぶべき場所に面していた。そこから東側へ出てみる。
するとかなり大きな通りに出る。小さい頃には、車道の路面に、市電の線路の跡が残っていた。多分いつ頃か舗装しなおして消えたが。
その通りを渡って北側の角には前の章で登場した頓宮神社があるが、ひとまずそちらには渡らず、左に折れ北側へ向かう。向かう以前だが、中通りの出口には自動車の整備屋があった。正面にいつもバイクが止まっていて(良く考えたら誰かが乗って出かけるのを見た事がない)よくまたがって遊ばせてもらった。
自動車整備屋の前を過ぎる。間に一軒くらい挟んで駐車場がある、ニワトリ放し飼いの。もう色々昭和というか色々大丈夫かという話だが、めっちゃそこらじゅうでフンたれるし鳥臭いしニワトリ羽ボロボロだし人間追っかけてくるし、全然大丈夫じゃないです。
そこを通り過ぎて北側の角に蕎麦屋。鍋焼きうどんが美味しい。そういや蕎麦屋って普通に鍋焼きうどん出すよな。大概は出前で食べた。平たいアルミ?の鍋がより美味しそうに感じた。この頃からずっとしみしみの麩が好きだ。
蕎麦屋の車道を挟んで北側の向かいには「健康パン」というパン屋があった。恐らく特に健康になる材料を使ってはいなかったと思うしそもそも「健康パン」という商品が無かった(時々クラスの子のお母さんとかに聞かれて、なんかがっかりされた)。
そしてこの「健康パン」は中一になる頃同級生んちのパン屋に変わった。そっちのパン屋の名前は覚えていない。アップルパイとリンゴジャムパンの中間くらいのパンがすごく美味しかったように思うが、商品名を覚えていないし類似品を見かけた事もない。この手の「幻の美味かったもの」で一話分書いてみようかなと思う。
さて蕎麦屋の角を西側に曲がる。記憶が曖昧なのが非常に残念なのだが、この辺に古美術の店があったと思う。小さい子に「こびじゅつ」ったってわけがわからないが、今となっては刀剣売ってる店だよ。覚えときゃ良かった。
更に進む。車道を挟んだ向かいに本屋兼文房具屋がある。
その辺で左手の中通りの方に折れよう。これは本当に中通りで、車も十分にすれ違える幅がある。
折れて、左手の方は当時としては近代的な何かの会社、右手側も何か会社だと思われるが平屋だったように思う。
中ほどで私の家の有る路地と交差する。ウチの向かいのアパートがこの中通り側まで続いている。アパートのすぐ隣にラーメン屋。店先の傾斜だったか段差かだったかに近所の子供たちが腰かけて遊んだりダベったりしていた。コンビニ前のヤンキーのルーツはここにある。
ここら辺から、同級生の家、同級生の祖母の家、同級生の叔母の店等々が両側に連なってくる。現存の店が少なくとも一軒あるので、自分の身バレはともかくご迷惑をおかけしたくないし万一再会するのもなんか気まずいので伏せる。
同級生の店の角を東側に曲がる。時期によって店が入れ替わるが、おにぎり屋やうなぎ屋等の飲食店が並ぶ。角まで行くと米屋。米屋の車道を挟んだ向かい側に中学の同級生のパチンコ屋、その向こうの和菓子屋は書道教室をやっていて一時期習っていた。
さて米屋の角を曲がると、ガラス屋がある。店先にはガラスの破片を詰め込んだ鉄の大きな箱が置いてあったり、実は結構破片が散らかっていたりしておもちゃに事欠かなかった。だから昭和大らかだな!
そしてまた何軒かを過ぎると路地の入口で、ぐるっと一周。ゴールお疲れ様。
書き始めた段階では中通りを過ぎて丸々一丁目分を歩くつもりだったのだが、記憶の掘り起こしがそれこそかなり疲れるのでまず半分だけ。
実のところ、中通りより西側へ行くと二条市場の入り口みたいなもんなのだ。今でいう「二条市場」には入っていないのかも知れないが既に商店が立ち並び始めて、肉屋は小学校の遠足や運動会の朝に赤旗白旗を立てる係だった。…念の為説明するけど、遠足とか運動会の朝とかに学校から「やります」「中止です」って連絡が来て、近所の子にわかるように赤とか白の旗立てて知らせる係、だからね?学校から中止決行の連絡が来た後天候急変したりして結構ドキドキするヤツだからね。グループメールみたいなもんだからね。
50年生きてるってまぁまぁ長生きじゃんと思った りーふぅぇい @Lihui
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